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「チームリーダーでありながら、ミスしてしまいました。自己嫌悪に陥り、自信をなくしています」

「チームリーダーでありながら、ミスしてしまいました。自己嫌悪に陥り、自信をなくしています」

Q.40代女性です。私は10人の部下を持つプロジェクトのリーダーをしています。先日、自分のミスによりメンバーに迷惑をかけてしまいました。その結果、自己嫌悪に陥るとともに、リーダーとしての自信をなくしてしまいました。

A.仕事のミスから自己嫌悪に陥ることはありますが、人間に失敗はつきものです。気持ちの受け取り方を変えることが、自己嫌悪から立ち直るポイントになります。自分にはよくないところもあるが、よいところもあると自己受容し、よくないところは改善することによって、人としての成長にもつながっていきます。

失敗してしまったときは、意識して気持ちの受け取り方を変える

自分のミスによる落ち込みに、さらに部下に迷惑をかけてしまったという自己嫌悪の感情が加わっているため、相談者さんはとてもつらい状況にあるのではないでしょうか。

大きな失敗をしたり、周囲の人に迷惑をかけてしまったとき、「自分はなんてダメな人間なのだろう」と思うことがあります。これは無意識のうちに人の心に現れる感情です。この「自分はダメな人間だ」と思うとき、自分のよいところが目に入らなくなってしまっています。しかし、人間というものは、よいところもあればよくないところもある複雑な存在です。成功もあれば、失敗もあります。一部の失敗や欠点をもって、自分のすべてを否定することは、理にかなっていません。こういった感情に陥るときは、意識して気持ちの受け取り方を変えていくことが必要です。

仕事で失敗しても、それは単なる失敗ではなく体験として受け取ってみましょう。体験を踏まえて人は成長します。このように受け取ることによって、失敗をひきずらないで次のステップに向かうことができます。

ミスはあなたのせいじゃない……大事な心の持ち方とは

また、ミスをしたあとの不安や恐怖を和らげる心の持ち方として、「自分」と「自分の役職」を切り離して考えてみるのもよいでしょう。「自分はミスをしたダメな人間だ」と思ってしまうのではなく、「組織において、この役職にいる自分がミスをした」と考えるのです。どうして自分のような役職にいる人が、そんなミスをする仕組みになっていたのか、と発想を変えてみましょう。そして客観的に、原因となってしまった全体の仕組みを変えられないかを考えてみるのです。そうすれば、改善のアイデアも浮かびやすくなります。ミスをあくまでもビジネスのプロセスにおけるバグ(不具合)と捉えてみましょう。

ありのままの自分を受け入れ、改善を重ねることで、人は成長する

自己嫌悪に陥りやすい人は、一般的に自己受容できない人に多くみられます。自分のよいところは受け入れるのですが、よくないところは認めたくないのです。自己受容とは、心理学で「自分のよいところだけでなく、よくないところも、ありのまますべて受け入れること」をいいます。コンプレックスや欠点、短所を抱える自分、失敗だらけの自分、ネガティブの自分を、そのまま肯定し、受け入れるのです。「今のままの自分でいい」「今のまま生きていい」、その感覚が「自己受容」です。そのうえでよくないところは改善していく――。これをくり返すことで、人は成長していくのです。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。