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「育児休暇を終えて職場復帰しますが、なんとなく焦りや不安を感じます」

「育児休暇を終えて職場復帰しますが、なんとなく焦りや不安を感じます」

Q.30代女性です。この春から、1年の産休・育休を終えて仕事に復帰します。自分がいなくても職場が回っていたことへの焦りや寂しさ、また仕事と育児の両立がうまくできるかなど、なんとなく不安を感じます。

A.「自分がいなくても組織が回る」というのは、仕事と育児を両立していくうえで重要なこと。母になったあなたのスキルは、仕事に生きてくるでしょう。仕事も家庭も何事も完璧をめざさず、ときには力を抜いて、自分と向き合う時間も大切にしましょう。

育休中に感じた経験、母になったスキルは仕事にも生きてくる

お子さんの誕生、そして職場復帰、おめでとうございます。特に初めての出産での育児休暇は、喜びだけでなく不安が伴うものです。

「職場に自分がいなくてもなんとかなる」と感じて寂しく感じたり、「必要とされていないのでは」といった焦りは、自分の存在を認めてもらいたい、仕事をがんばりたいと思っていることの裏返しなのかもしれません。相談者さんが育休中に仕事を引き継いだ人は、そのおかげで貴重な経験を積めたでしょう。それはある意味の「貢献」ではないでしょうか。もちろん、職場の人に負担をかけた部分もあるでしょうから、育休をもらえたことへの感謝の気持ちは忘れないようにしましょう。また、これから職場で子どもを産み育てながら働く人や、メンタル不調や病気療養、介護などで休職し復帰する人の気持ちにも、相談者さんはきっと今まで以上に寄り添えるようになっていることでしょう。

職場復帰してからも、小さな子どもは発熱などで保育園からの呼び出しなどもあるはずです。急遽休んでも、自分がいなくても仕事が回る状況であることは、仕事と育児を両立していくうえでとても大切なことです。労働人口が減少している中で、育児や介護、また病気で休む人が出ても、職場がうまく回っていくマネジメントが健康経営のうえでも重要です。育休中に感じたことや経験、母になったからこそ身についたスキルは、仕事に生かして職場に還元できるでしょう。

出産前の自分と比較するのはやめて、がんばりすぎないで

また、実際に職場復帰した際には、仕事のパフォーマンスが下がってしまったと感じることがあるかもしれません。仕事の勘が戻らなかったり、新しいことがなかなか覚えられなかったり、戸惑いの中で自信を失うこともきっとあるでしょう。

しかし、女性は妊娠出産の期間を経ると、女性ホルモンのレベルが急上昇と急降下を経験し、生物学的にも体が大きく変化するので、考え方や感じ方を含め、脳の機能が変化する時期なのです。そういった意味でも、出産前の自分と産後の自分を比較するのはやめて、新しい気持ちで仕事を楽しめるようになるとよいですね。

働く女性は、仕事に育児に家事にと、役割がたくさんあって、自分のことをおろそかにしがちですが、自分の感情や体調の変化と向き合う時間をぜひ持ってください。パートナーや周りの人と協力しながら、何事も完璧にしようとはせず、優先順位や「やらなくてもいいことはやらない」と、ときには割り切るようにすると、気持ちが楽になるでしょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。