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「会社から仕事に関して評価されず、モチベーションが下がっています」

「会社から仕事に関して評価されず、モチベーションが下がっています」

Q.30代男性です。一生懸命働いているにもかかわらず、会社からなかなか評価してもらえません。仕事へのモチベーションが下がり、あらゆることにやる気を失いそうです。

A.まずは、必要以上に落ち込まないこと。頑張った自分をほめたり、ご褒美をあげたりして、モチベーションを上げましょう。周りからの評価が、人生そのものの評価ではありません。それだけに振り回されないことが大切です。

必要以上に落ち込んだり、やる気を失うのはもったいない

人は誰しも周りの人から評価されたい生き物です。特に、仕事に関して、上司からよい評価をもらいたい、同じ職場の人にきちんと評価されたいという気持ちは当たり前の感情です。人から評価されることで、仕事へのモチベーションが上がり、その結果、よい仕事が生まれます。

しかし、ときには不満足な評価しか得られないこともあります。そんなときは、決して「自分は評価されていない……」と落ち込んでしまわないこと。こういうときは、落ち込みがエスカレートし、「自分は何をしてもダメな人間なんだ」と極端な方向に考えがちです。このような勝手な思い込みは、考え方の悪いクセで「認知の歪み」といわれています。普段はあまりそういう考え方をしない人でも、自信を失ったり、弱気になってしまっているときなどは要注意。評価がもらえないことで、必要以上に落ち込んだり、やる気を失ってつぶれてしまうのはもったいないことです。

自分で自分をほめたり、ご褒美をあげることでモチベーションを上げて

少なくとも、相談者さんが一生懸命働いたことは揺るぎのない事実。まずは自分で自分をほめてあげましょう。また、元気を取り戻すために自分にご褒美をあげるのもよいでしょう。お気に入りのスイーツを食べたり、マッサージに行ったり、好きなアーティストのライブに行くなど、とにかく「ご褒美のためにまた頑張ろう!」と思えることをしてみるのです。これは心理学では「外発的動機づけ」といい、モチベーションを上げるのによく使われる方法です。

そうすることで、誰からも評価されない→仕事へのモチベーションが下がる→すべてにおいてやる気を失う、といった負のスパイラルに陥るのを防ぎます。

周りからの評価が人生そのものではない。それだけに振り回されないで

今はまだ、誰からも評価されていないと感じているかもしれませんが、評価というものは結果が出るまでしばらく時間がかかるもの。ですから、現段階で評価されなかったからといってやる気をなくしてしまうのは、時期尚早かもしれません。あせらず、あきらめず、自分を信じることが明日につながります。

また、仕事に対する周りからの評価は、1つの基準で測った評価でしかありません。それがまるで自分という人間や、人生そのものの評価であるように思い込まないことが大切です。外側からの基準だけでなく、自分自身の評価の基準をしっかりともてるようになれば、周りの評価に必要以上に振り回されることもないでしょう。そのためには、もっと視野を広げて、さまざまな経験を積み、1つの価値観にとらわれないようにすることが必要かもしれません。

よい評価をもらえればうれしいし、やる気にもつながります。でも、それだけに振り回されないようになりたいですね。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。