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「産後、仕事のパフォーマンスが落ちて焦りや不安を感じます」

「産後、仕事のパフォーマンスが落ちて焦りや不安を感じます」

Q.30代女性です。産後、職場復帰しましたが、ホルモンバランスの影響からか体調がすぐれず、これまでどおりのパフォーマンスを発揮できません。家庭と仕事の両立にも慣れていないので、焦りや不安を感じます。

A.女性は人生の節目など、環境の変化があると、ホルモンの影響でメンタルの不調に陥りがちです。仕事や家事、育児など、なんでも自分1人で抱え込もうとせず、周りの人のサポートを受けましょう。

女性はホルモンバランスの影響で、環境の変化による不調を感じがち

女性はホルモンバランスの影響で、一般的に男性と比べてメンタルのトラブルにかかりやすいことがわかっています。生理前には、イライラしたり、気持ちが不安定になったり、体がだるくなったり、妙に眠たくなるといった症状が出る人も多いでしょう。何度経験しても、自分ではコントロールがなかなかきかないため、おつらいですね。

また、妊娠・出産や更年期をきっかけにトラブルが発生することもよくあります。男女を問わず、環境が変わったときは、さまざまなストレスがかかりますが、特に女性はこうした人生の節目にメンタルのトラブルを起こしやすいもの。自分でも気がつかないうちに、ストレスを受けていることを自覚して、まずは無理をしないこと。そして、遠慮せずに周囲のサポートを受けましょう。なんでも1人でやろうと力みすぎないことがポイントです。

頑張りすぎず、力みすぎず、こだわりすぎず。周囲のサポートを受けて

まだまだ日本では、“家のことは女性の担当”という考え方をする人が老若男女問わず多いものです。外で働いていても、「子どもの送り迎えも、家事も全部自分でやらなければ」と、自分で自分を追い詰めてしまうのはよくありません。どんなに頑張っても1人の人間ができることは限られています。自分さえ我慢すればよいと思って、なんでも引き受けることはやめましょう。無理をしてすべてを抱え込んでも、その責任感があだになり、相談者さんが倒れてしまっては本末転倒です。

必要なとき、周りの人にサポートを頼めることも、立派な能力の1つです。家庭では、パートナーや両親などを頼ってみましょう。また、職場でもサポートが必要な場合は、上司や同僚など身近な人に力を借りられないか相談してみましょう。実際のサポートの有無もさることながら、自分には支えてくれる人がいるという安心感をもつだけでも十分な力となります。

頑張りすぎず、力みすぎず、こだわりすぎず。頑張る姿も美しいですが、心に余裕をもつことも必要です。その余裕が、人間的な美しさを生み出すのではないでしょうか。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。