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「友達が結婚や出産ラッシュ。仕事中心の自分に落ち込みます」

「友達が結婚や出産ラッシュ。仕事中心の自分に落ち込みます」

Q.30代女性です。周りの友だちが結婚や出産のラッシュで幸せになっているのに、私は仕事が忙しく残業続きの毎日で、出会いすらありません。自分の要領の悪さに悲しくなり、出勤時に頭やおなかが痛くなることもあります。

A.1週間の生活を振り返る活動記録表をつけて、セルフモニタリングをしてみるのがおすすめです。自分の生活や行動、思考、感情などを客観的に振り返り、冷静に自分を見直して、ストレスやその原因に気づきましょう。人生いろいろ、考え方もいろいろです。

1週間の生活を「セルフモニタリング」して客観的に認識して

周りの友だちが結婚や出産をしていくなか、自分だけが仕事に追われていると感じていらっしゃるのですね。そういうときは、「人は人、自分は自分」と言い聞かせましょう。ただし、出勤時に頭やおなかが痛くなるのは「心身症」といって、心のストレスが体に生じた症状かもしれません。ストレスを十分に認識していないと、体に症状が現れてしまうのです。受診が必要な状態になる前に、日ごろからストレスを客観的に認識していることが大事です。

そのためには、「セルフモニタリング」がおすすめです。セルフモニタリングとは、自分の行動や感情などを観察・記録することなのですが、これを行うと、多くのことに気づくことができます。具体的には、手帳に週1回の「活動記録表」をつけてみます。日記のように感情を記す必要はなく、単純に生活や行動を記録するだけでかまわないので、日記をつけるのが苦手な人でも行いやすいでしょう。もちろん、不安や葛藤などを書き出せば、より効果的です。

人生は人それぞれ、考え方もいろいろであると気づいて

日常の慌ただしさに巻き込まれて自分を見失うと、心身の不調を生じやすくなります。その前に、自分の生活や行動、思考、感情などを客観的に振り返ることが大事です。週1回、冷静に自分を見直して、ストレスやその原因に気づきましょう。

そして、ストレスに気づいたら、それを解消するための「コーピング(対処)」をしましょう。コーピングは、大きくは、外部の環境や自分の問題を解決するために行う問題焦点型コーピング(問題の明確化、情報収集、解決策の考案など)と、情動的な苦痛を低減させる情動焦点型コーピング(回避、静観、気晴らしなど)とに分類されます。状況が制御困難な場合は、すぐに苦痛を軽減する「情動焦点型コーピング」を行います。例えば、友だちとのおしゃべりや食事、エステやヨガへ行ったりするのはいかがでしょうか。

状況が制御可能な場合や、時間的・精神的に余裕のある場合は、「問題焦点型コーピング」がよいでしょう。ストレスの元となる問題の情報を収集し、問題を明確化、そして解決策を実行するのです。

相談者さんの場合、ストレスになかば気づいているようですから、より気づきを明確にするための、問題焦点型コーピングを行うとよいでしょう。例えば、周りの友だちがみんな結婚や出産をしたとしても、自分は自分です。ほかの人と同じ道を目指す必要はないと考えてはいかがでしょうか。人生いろいろ、考え方もいろいろです。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。