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日本人のためのがん予防法

日本人のためのがん予防法

絶対にがんにならない、という予防法はありません。しかし、がんのリスクをできるだけ避けたり低くしたりすることで、ある程度予防することはできます。科学的根拠に基づき、日本人向けのがん予防法が発表されていますので、ぜひ、実践しましょう。

科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」

現時点で、がんを予防するために私たちができることは、好ましくない生活習慣を改善して、がんの発生リスクを回避または低下させることしかありません。

WHO(世界保健機関)やWCRF(世界がん研究基金)、AICR(米国がん研究財団)などの食事指針や、日本人を対象に行った研究成果を加味して考えられた、「日本人のためのがん予防法」が国立がん研究センターから、発表されています。
今後、新しい研究成果が集積されることで内容が修正されることがあったり、項目が追加・削除されたりする可能性はあるとしながらも、科学的根拠に基づいた、最も実行する価値のある予防法とされています。
6項目から成る予防法は、がん予防以外にも糖尿病や高血圧などをはじめとする生活習慣病予防にも当てはまるものです。自分の生活習慣全体を見直すきっかけにしていただくためにも、参考になります。

■日本人のためのがん予防法■
―現状において推奨できる科学的根拠に基づく予防法―
*下記の各項目についての詳しい解説は、国立がん研究センター がん対策情報センターのホームページ
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html
をご参照ください。

(1)喫煙

たばこは吸わない。他人のたばこの煙をできるだけ避ける。

(2)飲酒

飲むなら、節度のある飲酒をする。

(3)食事

食事は偏らずバランスよくとる。
*塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。
*野菜や果物不足にならない。
*加工肉、赤肉(牛・豚・羊など)はとりすぎないようにする。
*飲食物を熱い状態でとらない。

(4)身体活動

日常生活を活動的に過ごす。

(5)体形

成人期での体重を適正な範囲に維持する(太りすぎない、やせすぎない)

(6)感染

肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。

次回からこのコーナーでは、具体的な生活習慣とがんとの関係をご紹介します。

津金 昌一郎 先生

監修者 津金 昌一郎 先生 (国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長)
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究補助金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞受賞。一般向けの主な書著に『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。