11条 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
やせる、顔色が悪い、貧血がある、下血がある、咳が続く、食欲がない、などの症状に気がついたら、早めに医療機関を受診しましょう。がんや、それにつながる重大な病気が潜んでいる場合があります。
体からの危険信号を放置しないことが大切
がんは、早期の段階では症状がほとんどないため、がん検診以外で見つけるのが難しい病気です。科学的根拠に基づいた有効ながん検診(「10条 定期的ながん検診を」参照)を定期的に受けることが、がんで命を落とさないための有効な方法ですが、精度の高い検査であっても、がんが100%見つかるわけではありません。また、前回の検診では発見できないほど微小ながんであったものの、進行が早く、翌年の検診を待たずに症状をもたらすといった場合もあります。
体重の減少や貧血が続いたり、顔色が悪かったり、なんらかの出血や痛みが続いていたりしたら、それはがんに限らず、体からの危険信号です。命にかかわる重大な病気が潜んでいるおそれもあるので、自己判断で放置せず、医療機関を受診しましょう。
がんによって、さまざまな症状が現れます
主要ながんの症状には、次のようなものがあります。周辺の臓器や全身にさまざまな症状が現れますが、ほかの病気と見分けがつかないことが多いので、医療機関で正確な診断を受けましょう。
- 胃がん
胃の痛みや不快感、消化不良、食欲不振、吐き気、食習慣の変化など。
かなり進行しても無症状の場合がありますが、早期の段階で症状を起こすこともあります。また、これらの症状は胃炎や胃潰瘍(かいよう)でも起こりますが、早い段階で受診しましょう。進行胃がんでは、食事がつかえたり、体重が減ったりすることもあります。
- 肺がん
治りにくい咳や血の混じった痰(たん)、息切れ、声のかれ、喘鳴(ぜんめい:息をするときにゼーゼー音がする)など。 ほかの呼吸器疾患でも同様の症状が起こりますが、なかなか治らない場合や、喫煙歴のある40歳以上の人は特に注意しましょう。
- 乳がん
硬いしこりや乳房の皮膚の異常、血の混じった乳頭分泌液など。
良性腫瘍など乳がん以外の病気のこともありますが、詳しい検査が必要です。
- 子宮がん
月経時以外や性交時の出血、ふだんと違うおりものが増える、月経異常など。
子宮頸がんでは、排尿痛や排尿困難なども現れることがあります。また、閉経後に少量ずつ長く続く出血があるときは、子宮体がんのおそれがあります。
- 大腸がん
血便や排便異常(下痢と便秘を繰り返す)、便が細い、便が残る感じがある、おなかが張る、腹痛、貧血、原因不明の体重減少など。
なかでも多く現れる症状は血便ですが、痔などでも似た症状が起こります。
- 肝がん
初期には自覚症状がほとんどないことで知られていますが、進行すると腹部のしこりや圧迫感、痛み、不快感などが現れる場合があります。
また、肝硬変にともなって食欲不振やだるさ、微熱が起こったり、黄疸(おうだん:白目や皮膚が黄色くなること)が現れることもあります。