肺がんは、喫煙者だけでなく、非喫煙者も要注意
日本人のがんによる死亡原因の第1位を占めている、肺がん。その最大のリスク要因は喫煙ですが、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙による影響も明らかになっています。 5月31日は世界禁煙デー。自分と周囲の人の健康を守るためにも、この機会に真剣に禁煙に取り組みましょう。
喫煙により肺がんのリスクは4倍以上に
国立がん研究センターの「2015年のがん罹患数、死亡数予測」では、肺がんは、罹患数(新たにそのがんと診断される人の数)では第2位、死亡数では第1位となっています。
肺は、呼吸によって体内に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するという重要な役割をしています。肺がんは、肺の気管や気管支、肺胞といった組織のうち、一部の細胞が何らかの原因でがん化することによって起こります。進行するにしたがって周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパに乗って体内に広がっていきます。
肺がんの最大の原因は、喫煙です。日本人を対象としたあるコホート研究*によると、喫煙者が肺がんになるリスクは、男性では非喫煙者の4.5倍、女性では4.2倍でした。さらに、肺がんになった人のうち、男性では68%、女性では18%が、たばこが原因と推計されています。
また、たばこをたくさん吸うほど、たばこの煙に含まれる発がん促進物質を体内に多く取り込むことになり、1日に吸う本数が多く喫煙期間が長い人ほど、がんの発生リスクは高くなります。肺がんでは、「1日のたばこの本数×喫煙年数」(ブリンクマン指数)が600以上の人はハイリスク群とされています。
*コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの