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胃がん予防には、まず減塩と禁煙を

胃がん予防には、まず減塩と禁煙を

予防のためには、禁煙&減塩を

ピロリ菌の持続感染が、胃がん発生のリスク要因となることは明らかではありますが、多目的コホート研究では、胃がんになった人の99%がピロリ菌に感染していた一方で、胃がんにならなかった人も90%がピロリ菌に感染していました。即ち、調査開始時の40歳以上の日本人のほとんどはピロリ菌に感染していて、その一部が胃がんになることを意味しています。一方で、感染していない人が胃がんになることはまれであるとも言えます。

無症状の一般の人に対して、ピロリ菌の除菌が胃がん予防に有効であるという明確なエビデンスは、残念ながらまだ得られていません。また、除菌による健康全般に対する影響についても十分なエビデンスがありません。除菌療法を検討する場合は、かかりつけ医によく相談したうえで、ご自身の状態や価値観から判断するとよいでしょう。

また、すでにピロリ菌に感染していることがわかった場合は、胃の定期検診を受け、胃がんの早期発見に努めることが重要です。

日常生活では、禁煙と減塩を心がけてください。伝統的な和食は、どうしても塩分が高くなりがちなので注意が必要です。減塩は、高血圧予防につながり、日本人の死因としてもがんに次いで重要な脳卒中などの循環器疾患の予防に有効です。

厚生労働省では、「日本人の食事摂取基準2015年版」において、1日当たりの食塩摂取量の目標を男性8.0g未満、女性7.0g未満と定めています。まず、胃がん予防のためにも、漬物や塩辛、塩漬けの魚卵、魚の干物といった塩蔵品をできるだけ控えることが大切です。そして、みそ汁は1日1杯までにする、麺類のスープは残す、などといったことを実行し、食塩の摂取量をなるべく減らしましょう。

そのほか、野菜や果物を積極的にとることもおすすめです。野菜や果物に多く含まれる成分が、発がん物質を抑制したり、抗酸化作用により遺伝子に傷ができるのを防いだりする効果が期待できるからです。

喫煙している人は、まず禁煙を。そして、ふだんの食生活を見直し、塩分控えめの食習慣を目指しましょう。

津金 昌一郎 先生

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。