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肝がんは、肝炎ウイルス検査を受け、禁煙・節酒で予防しよう

大腸がんは、肉のとりすぎだけでなく、飲みすぎや肥満もリスクに

早期発見で予防は可能。一生に一度は肝炎ウイルス検査を

肝がんを予防するうえで最も重要なのは、肝炎ウイルス検査を受け、B型・C型肝炎ウイルス感染の有無を確認することです。肝炎ウイルス検査が普及した1990年代以前に輸血などを経験している人は、特に注意が必要です。また、そうでない人でも知らないうちに感染している恐れがあるため、一度は肝炎ウイルス検査を受けることが望ましいでしょう(地域の保健所やかかりつけの医療機関などで受けることができ、自治体によっては無料で検査を行っているところもあります)。

万一、肝炎ウイルスに感染していたとしても、すべての人が肝がんになるわけではありません。肝炎の治療法は近年めざましく進歩しており、早期に発見して適切な治療を受ければ、肝がんを予防することが可能です。肝炎ウイルスに感染していた場合には、自覚症状の有無に関わらず、継続して定期検査を受けることが重要です。

日常的には、禁煙・節酒に努めることは言うまでもありません。特に、肝炎ウイルス感染者は徹底してください。

バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、適正体重を維持して、肥満と糖尿病を予防しましょう。すでに糖尿病になっている人は、適切な血糖コントロールも大切です。

なお、「コーヒーをよく飲む人は肝がんの発生リスクが低い」という報告も複数あります。日本で行われた3つのコホート研究では、いずれも、ほとんど飲まないグループと比較して、コーヒーを飲む頻度が多ければ多いほどリスクは低下し、毎日1杯以上飲むグループでは約1/2に低下。監修者らの多目的コホート研究においては、さらに、毎日1~2杯飲むグループの肝がん発生リスクは0.52倍、3~4杯0.48倍、5杯以上0.24倍となっていました。また、C型肝炎ウイルス感染者に限った解析においても、同様にコーヒーによる肝がんリスクの低下が観察されています(JPHC Study「コーヒー・緑茶摂取と肝がんとの関連について」参照)。その他、シンガポールやフィンランドのコホート研究においてもリスク低下が報告されており、これらのエビデンス(科学的根拠)に基づいて、コーヒーはおそらく肝がんを予防すると判定されています。

これはコーヒーに含まれるさまざまな成分の働きによるものと考えられていますが、メカニズムはまだよくわかっていません。コーヒーの飲みすぎは胃を荒らしたり、高血圧や脂質異常症をもたらしたり、膀胱がんの発生リスクを高めることなどもわかっています。ベネフィット(利益)とリスク(危険)の両面があることを理解し、適量を守ることを心がけましょう。

津金 昌一郎 先生

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。