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糖尿病の人はがんになりやすい?

糖尿病の人はがんになりやすい?

糖尿病を予防することが、がん予防にもつながる可能性が示される

この研究から、慢性的な高血糖がすべてのがんの発生リスクと関連することが示されました。その理由として、高血糖により活性酸素が発生し、酸化ストレスが高まることでDNAが損傷され、発がんにつながる可能性があると想定されています。また、がん細胞が増殖する際には、大量の糖を必要とするため、慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖をうながす可能性もあるとされています。

このように、糖尿病はがんの発生と深く関係しているだけでなく、糖尿病をまだ診断されていない予備群の段階であっても、血糖値の上昇にともなってがん罹患のリスクが高くなることも明らかになりました。

つまり、糖尿病の予防が、がんのリスク低下にもつながる可能性が示されます。喫煙、肥満、運動不足といった糖尿病の危険因子を抱えている人は、今すぐにでも生活習慣を改善しましょう。また、定期健診におけるHbA1c値が年々上昇傾向にある人も要注意。生活習慣を今一度見直すと同時に、かかりつけ医からアドバイスをもらうなどして、予防に努めることが大切です。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。