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乳がんや前立腺がんの予防には、イソフラボンをたくさんとればよい?

乳がんや前立腺がんの予防には、イソフラボンをたくさんとればよい?

サプリメントによるとり過ぎは要注意

世界的に実施された疫学調査でも、イソフラボン摂取量の多い地域ほど乳がんおよび前立腺がんの罹患率や死亡率が低いと報告されています。また、大豆や大豆製品の摂取量の多いアジアで行われた疫学研究においては、イソフラボン摂取量の多いグループのほうが、少ないグループと比べて、乳がんや前立腺がんのリスクが低下するという報告が複数あります。一方で、ほとんど食べない欧米での研究では、リスクの低下を示す研究はほとんどありません。このことからも、アジアで食事を通して摂取しているイソフラボンには乳がんや限局性前立腺がんの予防効果が期待できます。ただし、どれくらい摂取するのがよいかは現時点でははっきりしておらず、イソフラボンをとり過ぎてしまうと悪影響が起こる危険もあります。

ふだんの食生活の中で、大豆や大豆製品から適量をとるようにし、サプリメントなどで過剰にとり過ぎないよう十分注意してください。食品安全委員会では、1日に摂取する目安量の上限値を以下のように定めています。この数値を参考に、くれぐれも過剰摂取には気をつけましょう。

●イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値(食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」、2006年による)

 大豆食品から摂取する…70~75mg/日
 特定保健用食品から上乗せして摂取する…30mg/日

※数値は大豆イソフラボンアグリコン換算

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。