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お酒の適量って? “休肝日”があるほうががんになりにくい?

お酒の適量って? “休肝日”があるほうががんになりにくい?

男性の適量は1日に日本酒1合。女性はより少なめに

日本酒 1合(180mL)
ビール 大瓶1本(633mL)
ワイン グラス2杯(240mL)
焼酎、泡盛 2/3合(100mL)
ウイスキー、ブランデー ダブル1杯(60mL)

では、健康を維持しつつ、お酒を楽しむための「適量」とは、いったいどれくらいの量なのでしょうか。通常のアルコール代謝能力を持った日本人にとっての適量は、毎日飲む場合で、純アルコールに換算して1日23gとされています。お酒の種類別に換算すると、表の分量となります。

ただし、女性は一般的に男性よりもアルコールの代謝能力が低いため、この1/2から2/3程度を目安にしましょう。少量のお酒で顔が赤くなる人や高齢者も、量は控えめに。元々お酒を飲まない人に対しては、たとえ少量であっても、飲酒をすすめるのはやめましょう。

また、アルコールを毎日飲めば、肝臓はずっと働き続けることとなり、それだけ細胞にも負担がかかってしまいます。40~69歳の男性を対象に、「休肝日」の有無と総死亡との関連を調べたコホート研究では、男性の多量飲酒者(1週間あたり日本酒換算で2~3合以上飲酒)で比較すると、「休肝日のない(週5~7日飲む)」人のほうが、「休肝日がある(週1~4日飲む)」人に比べて、総死亡リスクが1.5~1.8倍高くなっていました。

週2日以上の休肝日を設けることがすすめられますが、だからといってたくさん飲んでよいわけではありません。万が一飲みすぎた日があったら休肝日を増やし、1週間のアルコール摂取量が150gを超えないようにしましょう。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。