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自分が、がんにかかる確率を知るには?

自分が、がんにかかる確率を知るには?

「将来、自分ががんにかかる確率はどれくらいなんだろう」というのは、誰もが気になるところです。それをWebで簡単に算出できるのが、国立がん研究センター 社会と健康研究センターが開発した「がんリスクチェック」というツールです。ぜひ一度体験して、生活習慣の見直しに役立てましょう。

「がんリスクチェック」は日本人のために開発されたツール

国立がん研究センター 社会と健康研究センターでは、過去20年にわたって、日本人の生活習慣と、がんやその他の病気との関係について調査を続けてきています。その調査によって得られた情報を分析し、わかりやすい形にまとめたのが「がんリスクチェック(国立がん研究センター予防研究グループ)」です。

これまで、海外では、自分の生活習慣からがんリスクを知ることができるWEBベースのツールがありましたが、日本にはそうした信頼できるツールが存在していませんでした。そこで、日本人のエビデンスに基づいた同様のツールにより、個々人に向けて健康増進のメッセージを提供し、がん予防の実践を通じてがん罹患率の減少を目指すことを目的に、「がんリスクチェック」が作成されました。

質問に答えるだけで簡単にリスクがわかる

「がんリスクチェック」の使い方は、とても簡単です。まず、年齢、性別、身長と体重に加え、喫煙習慣、飲酒習慣などの生活習慣についての質問に答えます。その後、リスク判定のページへ飛ぶと、これらの条件をもとにしたシミュレーションにより、今後10年間にがんや循環器の病気になる危険度がどの程度なのかが表示されます。さらに、生活習慣の改善ポイントや、今後気をつけるべきことなどについてのアドバイスを受けることができます。リスクチェックはいくつかの種類があり、がんに関しては2018年3月現在、次の4つが公開されています。

●がんと循環器の病気リスクチェック
対象:40~69歳の男女
内容:喫煙・飲酒習慣や肥満度などをもとに、すべてのがん、および心臓病や脳卒中など循環器の病気にかかるリスクを算出

●大腸がんリスクチェック
対象:40~69歳の男性
内容:喫煙・飲酒・運動などの生活習慣や肥満度、年齢などをもとに、大腸がんにかかるリスクを算出

●5つの健康習慣によるがんリスクチェック
対象:45~74歳の男女
内容:5つの健康習慣(禁煙、節酒、食生活、身体活動、体形の維持)のうち、守っている数に応じて、すべてのがんにかかるリスクを算出

●胃がんリスクチェック
対象:40~69歳の男女
内容:喫煙や食習慣、胃がんの家族歴、ヘリコバクター・ピロリ感染、慢性胃炎の有無などをもとに、胃がんにかかるリスクを算出

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。