2人に1人─日本人の男女が一生涯にがんに罹患する確率
日本人が一生のうちにがんにかかるリスクは、男性62%、女性46%。つまり、2人に1人ががんにかかるというデータがあり、もはや他人事とはいえません。とはいえ、大切なことは健康寿命より先にがんにかからないことです。がんの原因の多くには生活習慣や環境が深くかかわっており、がんになる確率も大きく異なることがわかっています。それらを改善することががん予防の第一歩です。
「2人に1人ががんにかかる」とは、将来のリスクを示したもの
「今や日本人の2人に1人ががんにかかる時代」──そんな記事や報道を見聞きしたことのある方も多いのではないでしょうか。その根拠となっているのが、「生涯累積がん罹患リスク」(2013年データ)で、生涯でがんに罹患する確率は、男性62%、女性46%と示されています。
このように聞くと、「全人口の半数もの人ががんと診断されているというのは、多すぎるのでは?」と、疑問を持つ人もいるでしょう。そこで、生涯累積がん罹患リスクについて解説します。
生涯累積がん罹患リスクとは、一生のうちにがんに罹患する(がんと診断される)おおよその確率のことをいいます。もう少し詳しく言うと、0歳の人100人からなる集団を想定し、その集団を生涯追いかけた場合に、100人中何人ががんに罹患するかを、「生命表法」(平均寿命の算出方法と同じ)という計算法で数理的に算出した確率です。つまり、今現在の人口のうち何%ががんと診断されているかを示しているわけではなく、“将来のリスク”を示したものです。
高齢社会では、がんは誰にでも起こりうる病気
40歳までにがんと診断される確率は、男性が1%、女性が2%程度とさほど高くはありません。しかし、その確率は男女ともに50歳代から増加し、80歳までには男性42%、女性29%ががんと診断されると推計されています。
また、がんで死亡する確率は50歳までは男女ともに1%程度ですが、こちらも年齢とともに高くなる傾向にあり、80歳までには男性15%、女性9%。生涯では、男性25%、女性16%となり、男性は4人に1人、女性は6人に1人ががんで亡くなると推計されています。すなわち、生涯で2人に1人はがんと診断され、男性ではそのうちの半分が、女性では3人に1人ががんで亡くなる、ということになります。このように、がんというのは高齢になるほどかかる確率が高まることから、高齢化した現代社会では、誰にでも起こりうる病気だといえるでしょう。