急性骨髄性白血病1.7倍─たばこを吸わない人と比較した喫煙者のリスク
喫煙は、肺がんをはじめ多くのがんの原因となることが知られていますが、実は、治療が難しい「急性骨髄性白血病」のリスクも上昇させることがわかっています。たばこを一定量以上「吸う」人のリスクは、非喫煙者の約1.7倍となるため、急性骨髄性白血病の予防においても、禁煙することが非常に重要です。
日本人を対象とした研究でも、喫煙と白血病の関連が明らかに
「喫煙が白血病の発症にも関係する」と聞いても、ピンとこないという人も多いかもしれません。ところが、日本人を対象とした研究結果から、たばこを一定量以上「吸う」人は、「吸わない」人と比べて、急性骨髄性白血病のリスクが明らかに上昇することがわかりました。
以前から、国際的評価では、喫煙が急性骨髄性白血病の確実なリスクであることは明らかになっていました。しかし、喫煙と急性骨髄性白血病の関連について、日本人を対象とする大規模な研究はこれまでほとんど行われていませんでした。
そこで、愛知県がんセンターなどによる研究チームでは、日本の9つのコホート研究*1のデータを合わせたプール解析*2を行い、喫煙と急性骨髄性白血病のリスクの関連を調べました。
*1 コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの
*2 プール解析…複数の研究データを、あらかじめ定めた共通のルールにのっとって解析するもの
喫煙者の急性骨髄性白血病のリスクは非喫煙者の1.67倍
この調査では、開始時に喫煙習慣について尋ね、たばこを「吸わない」グループ、「やめた」グループ、「吸っている」グループの3つに分けました。さらに、「やめた」グループと「吸っている」グループを喫煙指数(たばこを1箱20本として、1日当たりの喫煙箱数と喫煙年数を掛けあわせた値)によって2つのグループに分けました。そして、年齢や性別、居住地域、肥満指数の偏りが結果に影響しないように考慮したうえで、喫煙と急性骨髄性白血病との関連を検討しました。
その結果、喫煙指数が30以上のグループは、たばこを「吸わない」グループと比べて急性骨髄性白血病のリスクが1.67倍となりました。男性だけでみた場合も、喫煙指数が30以上のグループのリスクは1.69倍に上昇していました。一方、女性に限った解析結果では、喫煙者や罹患者の数が少なく、はっきりとした関連性はみられませんでした。