若いうちから、がんになりにくい生活習慣を心がけよう
わが国では高齢化にともない、がんにかかる人が増えています。がんにかかるリスクは高齢になるほど上がりますが、若いころからの不適切な生活習慣は将来のがんリスクに大きな影響をおよぼします。将来のがんを予防するためにも、「5つの健康習慣」を目標に、生活習慣を見直しましょう。
健康習慣の有無で将来のがんリスクに差がつく
がんの発生には生活習慣が深くかかわっており、なかでも、喫煙、飲酒、食事、身体活動、肥満度の5つは重要な要因であることが明らかになっています。日本人を対象とした研究をもとに国立がん研究センターが策定した「日本人のためのがん予防法」でも、これらの要因に焦点をあてた「5つの健康習慣」を提唱しています。
国立がん研究センターでは、45~74歳の男女約8万人を対象に、5つの健康習慣とがん発生リスクとの関連を多目的コホート研究*において検証しました。具体的には、5つの健康習慣のうち実践している健康習慣の数とその組み合わせに基づき、その後10年間でがんに罹患する確率を男女別・年代別に調べました。なお、今回の研究では、5つの健康習慣を以下のように定義しています。
- 1.非喫煙(過去喫煙は含まない)
- 2.節酒(エタノール換算で150g/週未満)
- 3.塩蔵品を控える(0.67g/日未満)
- 4.活発な身体活動(男性:37.5メッツ・時/日以上、女性:31.9メッツ・時/日以上)
- 5.適正BMI(男性:21-27、女性:19-25)
その結果、実践する健康習慣の数が多いほど、がんの罹患確率は男女ともに低くなりました。一方、年代別にみてみると、同じ習慣を実践していても、高齢になるほどがんに罹患する確率は高くなり、その傾向は女性よりも男性に顕著にみられました。また、健康習慣を実践している人としていない人との差は、年齢を重ねるほど広がる傾向にありました。
例えば、45歳でいずれの健康習慣も実践していない人のがん罹患確率は男性で3.9%、女性で4.5%(全て実践していると各々1.8%と2.7%)であるのに対して、70歳では男性29%、女性13%(全て実践していると各々14%と8%)となっています(国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ「5つの健康習慣とがんのリスクについて」参照)。
*多目的コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの