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日々の食事パターンの傾向が、がんリスクに影響する可能性がある

日々の食事パターンの傾向が、がんリスクに影響する可能性がある

「欧米型」も全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡リスク低下に寄与

一方、同様に3つの食事パターンと死亡リスクとの関連を調べた多目的コホート研究では、次のような傾向が見られました(JPHC Study「食事パターンと死亡リスクとの関連について」)。

  • 「健康型」のスコアが高いグループは低いグループに比べて全死亡のリスクは約2割、循環器疾患死亡のリスクは約3割低下
  • 「欧米型」のスコアが高いほど全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡のリスクが低下

「欧米型」で全死亡、循環器疾患死亡のリスクが低下した理由としては、日本人が欧米人に比べ肉類の摂取量が少ないことや、コーヒー、牛乳・乳製品などの影響、欧米型のスコアが高いグループでは塩分摂取が少ないことなどが考えられます。しかし、がん死亡に関しては、前述のとおり、がんの部位によっては「欧米型」でリスクが高くなる傾向も見られますが、トータルの健康を考えると一概に悪いとはいえません。また、胃がんについては、高塩分食品の多い「伝統型」の度合が高まるにつれて、リスクが高まるという研究もあります(JPHC Study「食生活パターンと胃がんとの関連について」)。

一般に、「欧米型の食事はよくない」とされていますが、これまで日本人の食べてきた健康的な食事をベースに、肉や魚、牛乳・乳製品もほどほどにとり、高塩分・高炭水化物・低脂肪に注意した食生活に努めることが望ましいでしょう。健康維持のためにも、がん予防のためにも、今一度、日々の食生活を見直すことが大切です。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。