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がんリスクが低下する「5つの健康習慣」とは?

がんリスクが低下する「5つの健康習慣」とは?

禁煙や節酒、食生活の見直し、活発な身体活動、適正体重の維持の5つの健康習慣を実践すると、がんのリスクが大きく低下することがわかっています。「がんリスクチェック」で現在の生活習慣を見直し、実践できていない健康習慣に取り組みましょう。

5つの健康習慣でがんのリスクが約4割低下する

がんのリスクを下げるためのカギを握るのが、①禁煙、②節酒、③食生活の見直し、④活発な身体活動、⑤適正体重の維持、という5つの健康習慣です。

国立がん研究センターの多目的コホート研究では、これら5つの健康習慣とがん発生率との関連を調べました。その結果、5つの健康習慣すべてを実践する人は、0~1つしか実践していない人に比べて、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%低くなっていました。また、5つすべてを実践していなくても、健康習慣を1つでも多く実践するほど、がんのリスクが低下することも示されました(国立がん研究センター 社会と健康研究センター予防研究グループ JPHC Study「5つの健康習慣とがんのリスク」)。

これをもとに、健康習慣を自身がどれくらい実践できているのか、がんリスクはどの程度なのかを確認するために開発されたツールが「5つの健康習慣によるがんリスクチェック」です(対象は45~74歳の男女)。

年齢や性別のほか、ふだんの生活習慣や行動に関する簡単な質問に回答することで、5つの健康習慣をどのように満たしているか判断し、今後10年の間にがんにかかるリスクを算出します。また、診断結果を踏まえたアドバイスが受けられるほか、生活習慣を改善することでリスク値がどう変化するかがわかる「シミュレーション」にもトライできます。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。