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がんを防ぐために1日にとりたい野菜と果物の量は?

がんを防ぐために1日にとりたい野菜と果物の量は?

野菜や果物は、食事のバランスを整えるうえで欠かせない食材ですが、野菜や果物を十分に摂取することにより、特定のがんで予防効果が期待できることが示されています。1日当たり、どれくらいの野菜と果物をとればよいのかを知り、目標をクリアできるように食生活を見直しましょう。

野菜・果物を十分とっている人は食道がんのリスクが半減。胃がんもリスク減の可能性あり

ふだんの食事で野菜や果物を積極的にとることは、生活習慣病の予防に役立つだけでなく、一部のがんにおいて、(罹患)リスクを低下させる可能性があることがわかってきました。

日本人を対象とした複数の研究結果に基づき、野菜や果物の十分な摂取によってリスクが低くなるのが「ほぼ確実」と評価されているのは、食道がんです。45~74歳の男性約3万9000人を対象に行った国立がん研究センターのコホート研究では、食道がんのなかでも日本人に多い扁平上皮がん(以後、食道がん)の発生と野菜・果物摂取との関連について調べています(国立がん研究センター JPHC Study「野菜・果物摂取と扁平上皮細胞由来食道がんとの関連について」)。

この研究では、食事調査を基に、野菜・果物の1日当たりの摂取量によって3つのグループに分け、食道がんの罹患リスクを比較しました。その結果、野菜・果物の合計摂取量がもっとも多いグループでは、もっとも少ないグループに比べて、食道がんのリスクがほぼ半減していました。さらに、野菜・果物の合計摂取量が1日当たり100g増えるごとに、食道がんのリスクが約10%ずつ低下することも示されました。

また、胃がんについても、野菜や果物の摂取により発症リスクが低くなる可能性があります。40〜59歳の男女約4万人を対象とした国立がん研究センターのコホート研究において、野菜・果物の摂取と胃がんの発生率を調べたところ、野菜・果物をほとんど食べない人と比べると、野菜を1週間に1日以上食べる人では、発症リスクが低下していました(国立がん研究センター JPHC Study「野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について」)。

*コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。