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がんは必ず遺伝する?

がんは必ず遺伝する?

一部のがんで予防的臓器切除術が保険適用に。十分に相談のうえ検討を

最後に、遺伝性がんに関連する最新情報を紹介します。遺伝性がんのひとつに、遺伝性乳がん卵巣がん症候群というものがあります。これは、BRCA1(ビーアールシーエー1)またはBRCA2(ビーアールシーエー2)という遺伝子に生まれつき変異があり、体質的に乳がんや卵巣がんを発症しやすいというもので、 HBOC(エイチボックまたはエイチビーオーシー)と称されます。このHBOCに関連する診療の一部について、2020年4月より保険診療が認められることとなりました。具体的な診療内容は、リスク低減乳房切除術・乳房再建術、リスク低減卵管卵巣摘出術で、予防的な臓器切除が保険適用されるのはわが国では初めてです。

ただし、保険適用となるのは、乳がんあるいは卵巣がんの患者さんでHBOCであることがわかっている人に限られます。HBOCかどうかを知る検査を受けるかどうか、また手術を選択するかどうかは、専門医や専門のカウンセラーに十分に相談し、検討することが大切です。HBOCに精通したスタッフがいる施設で遺伝カウンセリングを受けるようにしましょう(詳細は日本乳癌学会の「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療収載に伴う遺伝カウンセリング・BRCA 遺伝学的検査とリスク低減乳房切除術・乳房再建術、リスク低減卵管卵巣摘出術について」を参照してください)。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。