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がん予防のために日本人の食事で推奨される、肉の摂取量は?

がん予防のために日本人の食事で推奨される、肉の摂取量は?

赤肉・加工肉の過剰摂取が大腸がんの発生リスクを上げることは、日本人を対象とした研究で「可能性あり」と判定されています。もともと日本人は欧米人に比べて、赤肉や加工肉の摂取量が少なく、肉類の控えすぎもかえって健康面でマイナスとなります。赤肉は1日平均で90g(生肉換算重量)を超えない範囲とし、加工肉もとりすぎに注意しましょう。

赤肉・加工肉をとりすぎると大腸がんリスクが上昇

日本人の最新(2017年)のがん罹患数を部位別にみてみると、大腸がんは男性では3番目、女性では2番目に多いがんとなっています(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計))。大腸がんの発生には食習慣が深く関係しており、なかでも牛・豚・羊などの赤肉やハム・ソーセージなどの加工肉の摂取量が多いと、大腸がん(特に結腸がん)のリスクが上がることがわかっています。

国立がん研究センターでは、45~74歳の日本人男女約8万人を対象とした多目的コホート研究*を実施していますが、その結果からも、赤肉や加工肉の摂取量が特に多い人(赤肉では上位20%、加工肉では上位10%のグループ)では、結腸がんのリスクが高くなることが示されました。

なぜ、赤肉や加工肉をとりすぎると、大腸がんのリスクが高まるのでしょうか。

まず、赤肉や加工肉は動物性脂肪が多いことに加え、赤肉に含まれるヘム鉄が活性酸素を生み出し、がんのリスクを高めると考えられています。

また、肉は基本的に加熱調理しますが、表面の焦げた部分にはヘテロサイクリックアミンという発がん性物質が含まれます。また、加工肉を製造する工程でも、ニトロソ化合物という発がん性物質が生成されます。これらが要因となっているのではないかと示唆されていますが、実際のところ、メカニズムはまだ明らかになっていません。

*多目的コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。