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がん予防のために日本人の食事で推奨される、肉の摂取量は?

がん予防のために日本人の食事で推奨される、肉の摂取量は?

肉は過不足なく、適量をとることが重要

では、肉類は極力とらないようにしたほうがよいのかというと、それは間違いです。赤肉は大腸がんのリスクを高める可能性がある一方で、たんぱく質や亜鉛、ビタミンB群といった、体にとって大切な栄養素も豊富に含んでいます。また、赤肉に含まれる飽和脂肪酸は、とりすぎると動脈硬化を招き、心筋梗塞のリスクとなりますが、逆に少なすぎると血管がもろくなり、脳卒中や特に脳出血のリスクを高めることにつながります。

以上のことを踏まえると、がんを予防し、なおかつ健康を維持していくためには、肉は過不足なく、適量をとることが正解だといえるでしょう。

では、具体的にどれくらいの量を摂取すればよいのでしょうか。国際的には、赤肉の摂取量は1日平均90g弱程度(生肉換算重量)以内とし、加工肉はできるだけ控えるようにすることが推奨されています。

日本人の赤肉や加工肉の平均摂取量(2016年国民健康・栄養調査)は、1日当たり牛・豚肉の合計で54g、ハム・ソーセージ類で13gなので、多くの日本人は過剰摂取の心配はありません。アジア人を対象とした研究データによると、赤肉の摂取が少ないと、がんや循環器疾患による死亡リスクが高くなることが示されています。また、赤肉には感染への抵抗力を上げる作用があることも指摘されているので、適量をとることを心がけましょう。

大腸がんを予防するうえで、男性の方にぜひ参考にしていただきたいのが、国立がん研究センターが開発した「大腸がんリスクチェック」です。これは、簡単な質問に答えるだけで、10年間に大腸がんを発生する確率を簡単に算出できるツールで、40~69歳の男性が対象となります。ほかのがんと同様に、大腸がんの予防にも生活習慣の改善が欠かせないので、このツールを活用して、生活習慣を見直すきっかけにしてください。

津金 昌一郎

監修者 津金 昌一郎 先生 国立がん研究センター 社会と健康研究センター長
1981年慶應義塾大学医学部卒、85年同大学大学院修了。86年より国立がんセンター研究所入所。臨床疫学研究部長などを経て、2003年に同センターがん予防・検診研究センター予防研究部長に就任。その間に米国ハーバード公衆衛生大学院客員研究員を務める。2010年に国立がんセンターの独立行政法人への移行に伴い、国立がん研究センター予防研究部長に就任。2013年から現職。1990年にスタートした国立がん研究センターがん研究開発費による研究班(2009年度までは、厚生労働省がん研究助成金による研究班)による大規模疫学研究である多目的コホート研究の主任研究者を務める。2010年朝日がん大賞、2014年高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。一般向けの主な書著に『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』『がんになる人ならない人』『ボリビアにおける日本人移住者の環境と健康』『なぜ、「がん」になるのか?その予防法教えます。』『食べものとがん~がんを遠ざける食生活~』などがある。昭和大学、山形大学客員教授、日本疫学会理事、日本癌学会評議員などを兼務。