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動かない生活ががんのリスクに!?

動かない生活ががんのリスクに!?

「健康のために運動をしましょう」というのはよく耳にするフレーズですが、がん予防の観点からみても、運動習慣はとても大切です。日本人を対象としたある研究では、日常的によく体を動かす人ほど、がんになるリスクが低くなることが示されました。デスクワーク中心など、日ごろから運動不足に陥りやすい人は、意識的に身体活動量を増やすようにしましょう。

男女ともに身体活動量が多いほど、がんリスクが低下

仕事も家事もさまざまなものが自動化され、買い物もスマートフォンで簡単にできてしまう今、体を動かす機会はどんどん少なくなっています。さらに、昨今のコロナ禍により外出する頻度が減り、ますます運動不足に陥っているという人も少なくないでしょう。しかし、体をほとんど動かさない生活が慢性化してしまうと、糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病だけでなく、がんのリスクも高くなる危険があります。

 国立がん研究センターの多目的コホート研究では、45~74歳の日本人男女約8万人を対象に、身体活動量とがん罹患との関連を調べました。この研究では、仕事や家事といった日常生活における身体活動、余暇に行っている運動なども含め、各身体活動を「運動強度指数(=メッツ)値×活動時間」で求めた「メッツ・時」スコアに換算して合計し、4つのグループに分けて比較しました。

その結果、男女ともに身体活動量が多いほど、がんにかかるリスクが低下していました。身体活動量がもっとも少ないグループを1とすると、もっとも多いグループのがん罹患リスクは、男性で0.87倍、女性で0.84倍でした。また、がんの部位別にみてみると、男性では結腸がん、肝臓がん、膵臓がんで、女性では胃がんで明らかにリスクが低下していました。さらに、身体活動量が多い人は、がんだけでなく、心疾患の死亡リスクも低くなることが示されました。

*多目的コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、2018年より国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。