文字サイズ

動かない生活ががんのリスクに!?

動かない生活ががんのリスクに!?

毎日60分歩き、週1回は活発な運動を

身体活動量を増やすことがなぜ、がん予防につながるのか、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。ただ、身体活動量を増やすことが、血糖を下げるホルモンであるインスリンの効きがよくなること、肥満解消、免疫調節機能の改善などにつながり、これらが関与しているのではないかと推察されています。また、結腸がんに関しては、運動することで便が腸内を通過する時間が短縮し、胆汁酸分泌が抑制されることが影響しているのではないかと考えられています。

では、具体的にどの程度の運動を行えばよいのでしょうか。厚生労働省は、18~64歳の身体活動量の基準として、「強度が3メッツ以上の身体活動を毎日60分(週に23メッツ・時)行う」ことを目標としています(「健康づくりのための運動指針2013」より)。わかりやすくたとえると、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行うことに加え、週に1回程度は活発な運動(息がはずみ汗をかく程度の運動)を60分程度行うと、この目標をクリアできることになります。また、65歳以上については、横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもかまわないので、身体活動を毎日40分程度行うことを目標としています。

がん、そしてさまざまな生活習慣病を予防するためにも、日ごろから意識的に体を動かすことはとても大切です。ただし、激しすぎる運動は活性酸素を増加させ、健康面に逆効果になることも指摘されています。決して無理をせず、日常生活の中で続けやすい方法で、適度な運動習慣を身につけるようにしましょう。

1メッツ・時に相当する身体活動

●生活活動

  • 20分の歩行
  • 15分の自転車
  • 子どもとの遊び
  • 10分の階段昇降
  • 7~8分の重い荷物運び

●運動

  • 20分の軽い筋力トレーニング
  • 15分の速歩やゴルフ
  • 10分の軽いジョギングやエアロビクス
  • 7~8分のランニングや水泳

【参考】厚生労働省「健康づくりのための運動指針2013」より

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、2018年より国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。