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糖尿病の人はがんになりやすい?

糖尿病の人はがんになりやすい?

日本人に多い2型糖尿病は、不健康な生活習慣によって起こり、がんの発生要因と共通するところが多くあります。国立がん研究センターの研究でも、糖尿病と診断されたことがある人は、ない人に比べて発がんリスクが20~30%高まることがわかっています。糖尿病の人や高血糖の人は、生活習慣の改善でがん予防にも努めましょう。

男性で1.27倍、女性で1.21倍、がんリスクが上昇

食事をすると、血糖値(血中のブドウ糖の量)は一時的に高くなりますが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きにより、やがて正常値に戻ります。ところが、インスリンが血糖値をコントロールできなくなると、血糖値が高いままになってしまいます。これが糖尿病です。

糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病の2つに大きく分けることができます。1型糖尿病では、インスリンを分泌するすい臓の細胞そのものが障害され、インスリンをまったく、あるいはほとんどつくることができなくなってしまいます。一方、2型糖尿病は、インスリンの分泌量が少なくなったり、分泌されてもうまく働かなくなったりすることで発症します。日本人の糖尿病患者のうち、大多数を占めるのが2型糖尿病です。そして、2型糖尿病の発症には、生活習慣が深く関わっていることが明らかになっており、がんの発生と共通する要因も多くみられます。

日本における大規模コホート研究*の統合により、33万人以上のデータを併せたプール解析を行ったところ、糖尿病と診断されたことがある人は、ない人と比べて肝臓がん、すい臓がん、大腸がん(結腸がん)の発症リスクが高くなることがわかりました。また、男性では胆管がんについても同様の傾向がみられました。この研究により、糖尿病はがん全体のリスクをおよそ20%上昇させることがわかりました。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。