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食事は偏らず、バランスよくとることが、がん予防につながる

食事は偏らず、バランスよくとることが、がん予防につながる

野菜や果物を十分に摂取することにより、一部のがんの発生リスクを下げる可能性があることがわかってきました。とはいえ、特定の食品ばかりに偏った食事は、栄養バランスが崩れる原因となります。野菜や果物が不足しないように意識しつつ、バランスのよい食事を心掛けるようにしましょう。

「健康型」の食事をする男性は、大腸がんリスクが低下

健康な体づくりにおいて、日々の食習慣が与える影響は大きく、それはがん予防においても同様です。では、具体的にどのようなことを心がけたらよいのでしょうか。

国立がん研究センターでは、大規模コホート研究*において45~74歳の男女約9万人を対象とした、食事パターンと大腸がんリスクとの関連を調べる追跡調査を行いました。まず、日ごろよくとっている食品・飲料の種類とその摂取量により、「健康型」(野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海藻類、脂の多い魚、緑茶など)、「欧米型」(肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類など)、「伝統型」(ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物など)という3つの食事パターンを抽出しました。そして、それぞれの食事パターンについてスコアにより5つのグループに分類し、大腸がん罹患との関連を調べました。

その結果、男性では、健康型食事パターンのスコアが高いグループにおいて大腸がんのリスクが低下し、部位別にみると遠位結腸がん(結腸のうち直腸に近いほうにできるがん)のリスクが低くなることがわかりました。健康型食事パターンでよく摂取される野菜や果物、大豆製品、魚などには、食物繊維や抗酸化物質、葉酸、カロテノイドなどが多く含まれており、これらの成分が発がん抑制に関わっているのではないかと推測されます。

一方、女性では、欧米型食事パターンのスコアが高いグループにおいて結腸がんのリスクが上昇し、とくに遠位結腸がんのリスクが高くなることがわかりました。欧米型食事パターンでは、肉類や加工肉を多く摂取しますが、肉類・加工肉の過剰摂取と結腸がんとの関連はこれまでも指摘されており、本研究においても同様の傾向がみられました。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。