ウイルス性肝炎の発見・治療で肝がんが防げる
日本人の肝がんの約80%は、ウイルス性肝炎が原因といわれています。ウイルス性肝炎は自覚症状に乏しいため、気づかないうちに肝硬変や肝がんに進行する危険があります。一生に一度は肝炎ウイルス検査を受け、感染の有無を確認することが肝がんの予防につながります。
C型肝炎ウイルスの感染で肝がんリスクは36倍に
肝臓は、食事でとった栄養分を取り込んでエネルギーなどに作り変える、体内の有害物質を解毒して排出する、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を作る、といった大切な役割を担っています。この肝臓の細胞ががん化し、悪性腫瘍となったものが肝がん(肝細胞がん)です。
肝がんが発生する主な要因は、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスの持続感染で、日本人の肝がんの約80%はウイルス性肝炎が原因といわれています。国立がん研究センターが行った大規模コホート研究*においても、肝炎ウイルスに感染していない人に比べて、B型肝炎ウイルスに感染している人は16倍、C型肝炎ウイルスに感染している人は36倍、肝がんのリスクが高くなることが示されています。
肝炎ウイルスが長期間、体内にとどまっていると、その間に肝細胞の炎症と再生が繰り返されます。すると、遺伝子の突然変異が度々おこり、がん化すると考えらえています。
*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの