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肉や加工肉の食べすぎはがんになりやすいって、ホント?

肉や加工肉の食べすぎはがんになりやすいって、ホント?

国際的ながん研究機関により、赤肉(牛・豚・羊などの肉)・加工肉の摂取は大腸がんリスクを上昇させると判定されており、日本人を対象とした研究結果でも、それらの肉の大量摂取により結腸がんリスクが高くなることが明らかになりました。ただし、健康維持に必要な栄養素も豊富に含まれているため、極端に制限するのではなく、適量をとることが大切です。

女性は赤肉、男性は肉類全体の摂取量が多いと結腸がんリスクが上昇

国際がん研究組織(IARC)では、全世界地域の人を対象とした疫学研究や動物実験研究、メカニズム研究などを総合的に判定し、赤肉(牛・豚・羊などの肉)・加工肉の摂取による人への発がん性について評価を行いました。その結果、加工肉については、主に大腸がんにおいて「人に対して発がん性がある」と判定されました。また、赤肉については、「おそらく人に対して発がん性がある」と判定しています。世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書でも、赤肉・加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが「確実」と判定されています。

IARCの評価の基となったデータによると、全世界地域の赤肉摂取量の範囲は、1日あたりおおむね50~100gで、中には200g以上摂取している地域もありました。これに対し、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は1日あたり80g(うち、赤肉65g、加工肉15g。2019年「国民健康・栄養調査」より)で、世界的にみても摂取量の低い国の1つとなっています。これだけ摂取量に差があるということは、国際的な評価がそのまま日本人にあてはまるとは限りません。

そこで、国立がん研究センターでは、日本人を対象とした大規模コホート研究*に基づき、赤肉・加工肉の摂取量と大腸がん罹患との関連を調べました。調査は、45~74歳の男女約8万人を対象に行われました。赤肉・加工肉の1日あたりの摂取量を少ない順に5グループに分け、その後の結腸・直腸がん罹患率を比較しました。その結果、女性では赤肉の摂取量が多いグループで結腸がんの罹患リスクが高くなり、男性では肉類全体の摂取量が多いグループで結腸がんの罹患リスクが高くなりました。

また、加工肉に関しては、男女ともに関連はみられませんでした。ただし、加工肉の摂取量をより細かく10グループに分けて比較すると、男性ではもっとも摂取量の多いグループで結腸がん罹患リスクの上昇がみられました。つまり、日本人の一般的な摂取量であれば問題ないものの、極端に摂取量が多いと結腸がん罹患リスクが上昇する可能性があるということです。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。