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熱い食べ物や飲み物は、少し冷ますことが食道がん予防につながる

熱い食べ物や飲み物は、少し冷ますことが食道がん予防につながる

熱い飲食物は適度に冷ます習慣を。禁煙&節酒も心がけて

日本人の食道がんは、熱い飲食物のほかに、飲酒と喫煙が大きな要因となっていることもわかっています。食道がんの発生率は、女性よりも男性のほうが約5倍も高いのですが、これは男性のほうが飲酒や喫煙のある人が多いためと考えられています。とくに、少量のお酒ですぐに顔が赤くなる人が毎日のように飲酒すると、食道がんの発生リスクが高くなります。顔が赤くなる人はアルコールを分解する力が弱く、アルコールを分解する過程で生じるアセトアルデヒドという発がん性物質を体内にため込みやすいためと考えられています。

また、非喫煙者に比べて、喫煙者は2~3倍も食道がんを発生しやすいことがわかっています*1。たばこを1日20本を20年間吸っているヘビースモーカーではさらにリスクは高くなり、4.8倍になるとの報告もあります*2

食道がんを予防するためには、喫煙者はまず禁煙し、飲酒は適量を心がけることが重要です。また、お茶やスープ、おかゆなどの熱い飲食物は、熱々の状態で口にすることは避けてください。口に入れる前に熱さを確認し、適度に冷ましてから口に運ぶ習慣をつけるようにしましょう。

多くのがんと同様に、食道がんも初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、飲酒や喫煙習慣のある人、飲酒で顔がすぐに赤くなる人など、リスクの高い人は定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。

参考文献

  • *1 Oze I, et al. Jpn J Clin Oncol. 2012
  • *2 Ishiguro S, et al. Cancer Letters. 2009

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。