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たばこは、予防が可能な最大のがんの要因!

たばこは、予防が可能な最大のがんの要因!

たばこは、肺がんをはじめ多くのがんのリスクを確実に高めることがわかっています。また、喫煙者本人だけでなく、周囲の人の健康にも大きな悪影響をおよぼします。喫煙者は少しでも早く禁煙し、非喫煙者は受動喫煙を徹底して避けることが大切です。

喫煙により、男女ともにがん発生率は確実に上昇

2019年の「国民健康・栄養調査」の結果によると、日本人の喫煙率は男性で27.1%、女性で7.6%となっています。近年でもこれだけの人が喫煙を続けているわけですが、たばこが健康を害することは明らかであり、がんのリスクも確実に高めることがわかっています。

日本人40~69歳の男女約9万人を対象とした大規模コホート研究に基づき、国立がん研究センターは喫煙とがん全体の発生率との関係を調べました。この研究では、「たばこを吸ったことがない人」「たばこをやめた人」「たばこを吸っている人」の3つのグループに分け、約10年間におけるがん全体の発生率を比較しました。その結果、たばこを吸っているグループのがん全体の発生率は、吸ったことがないグループに比べて、男性では1.6倍、女性では1.5倍高くなることが示されました。また、吸っているグループの中でも、1日当たりの喫煙本数の多い人や喫煙期間の長い人ほど、がん全体の発生率は高くなっていました。

また、この研究結果をもとに、もし禁煙していたら何割くらいのがん発生を防げたかを試算したところ、男性で29%、女性で3%の人が予防可能だったことがわかりました。ちなみに、男性よりも女性の割合が低いのは、女性のほうが全体に占める喫煙者の割合が少ないためです。

国立がん研究センターでは、喫煙・飲酒と口腔・咽頭がん発生リスクとの関連を調べる研究も行いました。その結果、男性では、たばこを吸っているグループは吸わないグループと比べて、口腔・咽頭がんの発生リスクが2.4倍になることが示されました。さらに、吸っているグループの中でもヘビースモーカーの人(1日喫煙箱数×喫煙年数が60以上)では、口腔・咽頭がん発生リスクが4.3倍となりました。また、喫煙者であることに加え、日常的に多量に飲酒している人では、さらにリスクが高くなることも示されました。一方、女性では、たばこを吸っているグループは吸わないグループと比べて、口腔・咽頭がんの発生リスクが2.5倍となりました。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。