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やせすぎもがんのもと? 適正体重ががんを遠ざける

やせすぎもがんのもと? 適正体重ががんを遠ざける

肥満は、がんを含む多くの病気のリスクを高めることが明らかになっていますが、やせすぎでもがんのリスクが高まることがわかっています。近年は、高齢者の低栄養によるやせも社会的な問題となっています。バランスのよい食事と適度な運動で適正体重を維持し、がんを防ぎましょう。

BMIが19未満の男性は、がん発生率が約30%上昇

「健康のために適正体重を維持しましょう」というのはよく耳にする言葉です。体重が問題視される場合、とかく肥満ばかりが注目されがちですが、実はやせすぎでもがんのリスクが高まることがわかっています。

国立がん研究センターでは40~69歳の男女約9万人を対象とした大規模コホート研究に基づき、肥満度とがん全体の発生率との関係を調べました。この研究では、調査開始時の肥満度(BMI値=体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])をもとに7グループに分け、その後のがん発生率を比較しました。

その結果、男性ではBMIが21未満のやせているグループと、30以上のもっとも太っているグループでがん発生率が高くなることが示されました。とくに、BMIが19未満のもっともやせているグループでは、BMIが23.0~24.9のグループと比べて、がん発生率が約30%高くなりました。この結果に対し、「がんになったからやせたのではないか?」という疑問を抱く人もいますが、調査開始後、数年以内にがんになった人を除いて分析しても、同様の結果となりました。そのため、もともと非常にやせていることでがんのリスクが高くなったと考えられます。一方、女性では、がん全体の発生率とBMIとの関連はみられませんでした。

また、BMIとがんによる死亡率との関連をみてみると、男性では肥満よりもやせの人のほうが死亡率が高くなりました。ただし、非喫煙者では、やせていてもがんによる死亡率は高くならないことも示されました。一方、女性では、BMIが30以上のグループはBMIが23.0~24.9のグループと比較して、がんによる死亡率が25%高くなりました。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。