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がんリスク、高まっているかも……チェック&アクションでがんを予防しよう

がんリスク、高まっているかも……チェック&アクションでがんを予防しよう

5つの健康習慣で男性は43%、女性は37%、がんリスクが低下

③食生活を見直す

食生活では、「塩分のとりすぎ」「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲食物をとる」の3つが、がんのリスクを高めることがわかっています。

塩分の摂取量が多い人は、特に胃がんのリスクが高くなります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日の塩分摂取量を成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満にすることを推奨しています。日々の食事では減塩を心がけ、塩分濃度の高い食品をとる頻度を控えめにしましょう。

また、野菜や果物の摂取量が少ない人は、がんのリスクが高くなることがわかっているため、不足しないようにすることが大切です。1日あたりの摂取量は、野菜350g、果物50gを目標にしましょう。野菜を小鉢5皿分、果物1皿分を目安にとるようにすると、目標値を達成できます。

さらに、熱い食べ物や飲み物を熱いままとると、食道がんのリスクを確実に高めることがわかっています。熱い飲食物はすぐに口に運ばず、少し冷ましてからとる習慣をつけましょう。

④体を動かす

日ごろから体をよく動かす人ほど、がんになるリスクが低くなるという報告があります。身体活動量が最も少ないグループと比較すると、最も多いグループでは、男性は0.73倍、女性は0.61倍と、がんによる死亡リスクが低くなることが示されました。

18~64歳の人では、歩行またはそれと同程度の身体活動を1日60分行い、それに加えて、息がはずんで汗ばむ程度の運動を、週に60分行うことが推奨されています。今よりも積極的に体を動かすようにし、運動習慣を持つように心がけましょう。

⑤適正体重の維持

日本人の中高年を対象に、肥満度の指標であるBMI値とがんなどによる死亡との関連を調べた研究によると、男女ともに、太りすぎでもやせすぎでも死亡リスクが高くなることが示されました。がんなどによる死亡リスクを低下させるためには、男性はBMI21~27、女性は21~25を目標に体重をコントロールするとよいとされています。

「がんリスクチェック」で改善ポイントを見つけよう

生活習慣を見直す際にぜひ活用したいのが、国立がん研究センターのホームページ上にある「5つの健康習慣によるがんリスクチェック」です。これは、現在の生活習慣と、年齢や性別、身長、体重などを入力することにより、今後10年のがん罹患リスクが診断できるというものです。さらに、今の生活習慣を改善するとどこまでリスクを減らせるのかシミュレーションもできます。少しでもできることから改善し、リスクを減らしましょう。

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。