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死亡数第1位の肺がん! 喫煙者は禁煙外来も積極的に活用を

死亡数第1位の肺がん! 喫煙者は禁煙外来も積極的に活用を

肺がんの最大の危険因子が喫煙であることは、広く知られています。また、喫煙者だけでなく、非喫煙者であっても受動喫煙により肺がんのリスクが高まります。非喫煙者は受動喫煙を避けることが大切です。喫煙者は少しでも早く禁煙し、やめられないときには健康保険が適用される禁煙治療も積極的に活用しましょう。

たばこを吸う人は、男性で4.5倍、女性で4.2倍、肺がんリスクが上昇

肺がんとは、気管や気管支、肺胞(気管支の先端にある膨らみ)の細胞に発生するがんをいいます。日本人がかかるがんの中でもっとも死亡者数が多く、年間約7万4,000人が肺がんで亡くなっています。喫煙は多くのがんとの関連が指摘されていますが、肺がんの最大の危険因子であることが明らかになっています。これは紙巻きたばこに限ったことではなく、加熱式たばこも同様にリスク要因となります。

国立がん研究センターでは、日本人を対象とした大規模コホート研究*に基づき、40~69歳の男女約9万人を対象に、喫煙と肺がんとの関連を調べました。この研究では、たばこを吸わない人、たばこをやめた人、たばこを吸う人の3つにグループを分け、その後の肺がん発生率を比較しました。その結果、たばこを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人に比べて、男性では4.5倍、女性では4.2倍高くなっていました。また、たばこをやめた人の肺がん発生率は、男性では2.2倍、女性では3.7倍高くなっていました。

肺がんは、がんの組織型により、扁平上皮がん、腺がん、小細胞がん、大細胞がんの4つに分類されます。このうち、扁平上皮がんと小細胞がんは太い気管支に発生し、肺の奥に発生する腺がんや大細胞がんと比較して、本人の喫煙との関連が大きいことがわかっています。この研究においても、扁平上皮がんと小細胞がんを合わせてみてみると、たばこを吸う人は吸わない人に比べて、男性では12.7倍、女性では17.5倍、このタイプのがんにかかりやすいことが示されました。

*コホート研究…特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの

受動喫煙でも腺がんのリスクが約2倍に

では、たばこを吸わなければ肺がんのリスクが低いかというと、そうとはいいきれません。なぜなら、本人は非喫煙者であっても、受動喫煙によって肺がんのリスクが高くなるからです。

受動喫煙と肺がん発生率との関連を調べたところ、夫が非喫煙者である女性(受動喫煙がない)と比べて、夫が喫煙者である女性(受動喫煙がある)の肺がん発生率は、約1.3倍高くなっていました。これを肺がんのタイプ別にみてみると、8割以上は腺がんであることがわかりました。さらに、腺がんに絞って解析を行ったところ、受動喫煙のあるグループは、受動喫煙のないグループに比べて、腺がんのリスクが約2倍高くなっていました。

たばこを吸う際に発生する煙のうち、喫煙者がフィルターを通して口から直接吸う煙を主流煙、火のついたたばこの先端から立ちのぼる煙を副流煙といいます。副流煙は主流煙よりも低温であるため、燃焼されずに残った多くの有害物質が含まれています。また、受動喫煙では微小な有害物質を呼吸とともに吸い込むため、肺の奥まで入り込み、腺がんを引き起こすと考えられています。こうしたことから、非喫煙者であっても受動喫煙には十分な注意が必要です。

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。