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人と人とのつながりが、がん発生や死亡リスクに影響する?

人と人とのつながりが、がん発生や死亡リスクに影響する?

意識的にコミュニケーションを心がけて

今回の研究では、社会的な支えが少ない男性では、社会的な支えが多い男性に比べて、大腸がんの発生や死亡のリスクが高いことが示されたわけですが、その理由はどこにあるのでしょうか。

社会的な支えが多い、つまり日ごろから周りの家族や友人、同僚などとコミュニケーションをとっている人は、がん検診を受けるよう勧められたり、万一がんになったとしても、適切な治療を受けるよう促されたりする機会も多いことが予測されます。また、周囲からのアドバイスにより、健康に関する知識も高まり、より健康的なライフスタイルを選択しやすくなるでしょう。さらに、悩みや不安があるときも周りの人に相談できるため、ストレスをためづらくなります。こうしたことが総合的にプラスの要因となり、大腸がんの発病や予後に影響すると考えられます。

社会的なつながりが希薄ということは、つまり孤立を意味します。孤立は、認知症や脳卒中、心臓病の発症リスクを高めるほか、将来的に自立した日常生活を送れなくなるリスクを高めるという報告もあります。がん予防だけでなく、心身の健康を維持するためにも、社会的な支えはとても大切なものといえるでしょう。

コロナ禍により、さまざまな厳しい制限を経験したことで、自由に会いたい人と会えることの大切さを改めて感じた人も少なくないのではないでしょうか。家族と会話する時間を増やす、友人や知人に積極的に連絡をとってみる、気の合う同僚とプライベートでも会う時間をつくるなど、意識的にコミュニケーションをとることを心がけましょう。

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。