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コーヒーががんリスクを下げる!

コーヒーががんリスクを下げる!

コーヒーには、がんの発生リスクを下げる効果が期待できます。肝がんのリスク低下は「ほぼ確実」、子宮体がんのリスク低下は「可能性あり」の研究結果が出ています。ただし、コーヒーに含まれるカフェインには要注意。コーヒーに限らず、カフェインをとりすぎると健康面に悪影響を及ぼす恐れがあるため、あくまでも適量を楽しむことが大切です。

コーヒーを毎日飲む人は、肝がん・子宮体がんリスクが低下

食後、あるいは仕事や家事の合間などに、コーヒーを飲むことが習慣になっている人も多いことでしょう。そんな身近な嗜好品の1つであるコーヒーですが、がんの発生とはどのような関連があるのでしょうか。

国立がん研究センターでは、さまざまな生活習慣とがんなどの病気との関係を明らかにし、生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。そこで、1990年と1993年に岩手県二戸、新潟県柏崎、高知県中央東など全国9保健所管内に住んでいる人にアンケート調査を行いました。そのうち、40~69歳の男女約9万人を対象とした追跡調査に基づき、コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について調べました。本調査では、コーヒー摂取頻度により6つのグループに分け、その後の肝がんの発生率を比較しました。その結果、コーヒーをほとんど飲まないグループの肝がん発生率を基準とした場合、ほぼ毎日飲むグループでは肝がんの発生リスクが0.49倍と、約半分に低下していました。また、1日の摂取量が増えるほど肝がんの発生リスクが低下し、1日5杯以上飲むグループでは0.24倍と4分の1以下にまで低下していました。こうした肝がん発生リスクの低下は男女ともにみられました。

また、コーヒーの摂取と子宮体がんとの関係を調べる研究では、コーヒーの摂取頻度により4つのグループに分け、その後の子宮体がんの発生率を比較しました。その結果、コーヒーを飲むのが週2日以下のグループの子宮体がんリスクと比べると、週3~4日飲むグループでは子宮体がんの発生リスクが0.97倍とほぼ同程度ですが、毎日1~2杯飲むグループでは0.61倍、毎日3杯以上飲むグループでは0.38倍まで低下していました。

さらに、同センターでは、コーヒーの摂取と全死亡、および日本人の5大主要死因(がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外因)による死亡との関係を調べる研究も行いました。まず、全死亡に関しては、コーヒーをほとんど飲まないグループの死亡リスクを基準に比較すると、1日1杯未満のグループでは0.91倍、1日1~2杯では0.85倍、1日3~4杯では0.76倍、1日5杯以上では0.85倍となり、1日4杯以下であれば、コーヒーを飲む量が増えるほど死亡リスクが下がる傾向がみられました。

一方、死因別でみてみると、がんによる死亡リスクとコーヒー摂取との間には有意な関連がみられませんでしたが、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患については、コーヒーの摂取により死亡リスクが低下することが示されました。

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。