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早期に発見できればほぼ治すことができる大腸がん

早期に発見できればほぼ治すことができる大腸がん

大腸がんは、がんの中でも男女合わせた罹患数が最も多く、死亡数もトップクラスのがんです。一方で、大腸がんは比較的進行が遅いため、早期発見・早期治療により完治の可能性が高くなります。初期の大腸がんを見逃さないためにも、40歳以上の人は年1回、定期的に大腸がん検診を受けることが重要です。

がんによる死亡数のうち、大腸がんは女性で1位、男性で3位

大腸がんとは、大腸(結腸、直腸、肛門)に発生するがんをいいます。発生には、動物性脂肪のとりすぎ、食物繊維の不足といった食習慣が大きく影響すると考えられており、食生活の欧米化により日本人では増加傾向にあります。がんの部位別でみると、男女合わせた罹患数(新たにがんに罹患する人の数)は大腸がんが最も多く、死亡数でも女性では1位、男性では3位となっています。また、大腸がんは50歳代から増え始め、60歳代後半以降で急増する傾向がみられます。

通常、初期の大腸がんでは自覚症状はほとんどみられません。進行すると、腹痛や出血、便秘や下痢、便が細くなる、残便感がある、といった症状が現れますが、これらの症状がみられるころには、がんがかなり進行していると考えられます。また、排便時の出血は痔でもみられる症状ですが、出血が痔によるものなのか、大腸がんによるものなのかは容易に判別ができません。「きっと痔による出血だろう」と決めつけてしまうと、大腸がんを見逃してしまう危険もあるため、注意が必要です。

井上 真奈美

監修者 井上 真奈美 先生 1990年筑波大学医学専門学群卒。1995年博士(医学)取得。1996年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。愛知県がんセンター研究員、国立がんセンター室長、東京大学特任教授等を経て、現在、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長。専門分野はがんの疫学と予防。