ホワイトニングで歯も美白
変色した歯を白くするホワイトニングへの関心が高まっています。う蝕(虫歯)や歯周病のない健康な歯を手に入れたら、次は美しい口元を目指してみませんか? 白く輝く歯は、あなたの魅力をより引き立たせてくれるはずです。
着色・変色の原因はさまざま
口元はその人の印象を大きく左右します。テレビなどの影響で真っ白な歯にあこがれ、自分の歯の色はおかしいのでは? と悩む人もいるようですが、本来の歯の色は、「真っ白」ではなく「淡黄色」をしています。これは、歯の表面を覆う半透明のエナメル質を通して、内側にある黄色い象牙質が透けて見えるためです。しかし、人それぞれ肌の色が異なるように、歯の色も異なり、また、人種差もあり、一様ではありません。
しかし、歯の黄ばみが強かったり、変色が起きている場合は、何らかの原因があるかもしれません。
歯の着色・変色の主な原因
- 加齢や遺伝による黄ばみ
加齢によりエナメル質が薄くなったり、象牙質の厚みが増したりすると、歯が黄ばんで見えるようになる。また、生まれつき歯の黄ばみが強い人もいます。
- タバコによる着色
タバコのヤニが歯の表面に付着する。
- 薬の影響による変色
歯の形成期である乳幼児期にテトラサイクリンという抗菌薬を服用すると、歯の根元が暗い黄色、茶色や灰色のしま模様になることがあります。したがって、8歳までは服用を避けます。
- 神経を取った歯の変色
歯をぶつけて歯髄(しずい=歯の神経)が壊死したり、う蝕(虫歯)などの治療で歯髄を取ると、歯が徐々に茶褐色に変色しやすくなります。
- 口呼吸による歯の変色
歯の表面を覆っている唾液の糖タンパク由来のペリクル中のタンパク成分が、(無意識の)口呼吸による歯面の乾燥で残留して、歯が変色します。すなわち、口呼吸による空気の通過する前歯の先端部分や歯の裏側を中心に歯が着色します。
着色汚れが歯の表面にとどまっているのであれば、歯科医院でクリーニングしてもらうだけできれいになります。しかし、着色汚れが歯に染み込んでいる場合や、加齢や遺伝による歯の黄ばみには、薬剤を用いて歯を白くするホワイトニングが効果を発揮するので、歯の色が気になっている人は、一度歯科医に相談してみるとよいでしょう。
歯を白くする方法には、歯の表面を薄く削ってセラミックの板を貼り付ける「ラミネートベニア」という方法もありますが、ホワイトニングは歯を削らないため、ラミネートベニアに比べて歯にかかる負担が少ないという利点があります。
歯科医院のほか、自宅で行うホワイトニングも
ホワイトニングには、大きく分けて、生きている歯を白くする「オフィスホワイトニング」「ホームホワイトニング」と、神経のない歯を白くする「ウオーキングブリーチ」の3つがあり、これらを併用することもあります。
- 歯科医院で行うオフィスホワイトニング
歯にホワイトニング剤を塗り、特殊な光を当てて活性化させる。1回の治療(1時間前後)である程度白くなるが、希望の白さになるまで数回通院が必要な場合もあります。
- 自宅で行うホームホワイトニング
歯科医院で作成したマウスピースにホワイトニング剤を注入して、1日数時間装着します。2週間ほどかけて、ゆっくりと歯を白くしていきます。白くなるまでに時間はかかりますが、効果は1~2年持続します。
- 無髄歯に対して行うウオーキングブリーチ
通常のホワイトニングでは効果が得られにくい、神経を取った歯(無髄歯)に対して行います。歯の内側にホワイトニング剤を注入し、しばらくたってからホワイトニング剤を取り出します。希望の白さになるまで、ホワイトニング剤を数回交換する場合もあります。
ホワイトニングの後に知覚過敏が起きることがありますが、一時的なものなので心配はいりません。また、ホワイトニングの効果は永久的ではなく、時間がたつと少しずつ黄ばみや変色が起きてきますが、定期的に歯科医院でクリーニングをしたり、再びホワイトニングを行うことで、白さを保つことができます。
ホワイトニングは万能ではない。治療前に十分な説明を受けよう
ホワイトニングは、歯にかかる負担が少なく効果的な治療法ですが、ホワイトニングの適応外となるケースもあります。
例えば、う蝕(虫歯)や歯周病がある場合は、まずそれらの治療を行います。きれいで健康な歯周組織であることが必須です。また、詰め物やかぶせ物、差し歯などを白くすることはできません。そのほか、ホワイトニング剤にアレルギーを起こす人や、先天性の病気でホワイトニング剤を体内で分解できない人は、ホワイトニングを行うことができません。妊娠中や授乳中の人は安全を考慮して、原則としてホワイトニングは行わないほうがよいでしょう。
ホワイトニングで得られる効果は、歯の着色・変色の程度や原因、食生活などにより人それぞれで、満足のいく白さを得られない場合もあります。また、健康保険が適用されないため、料金は歯科医院によって異なります。治療を受ける際は、事前に歯科医から十分な説明を受けることが大切です。