ドライマウスはなぜ起こる? 予防と対策
「ドライマウス(口腔乾燥症)」が起こると、単に口が乾いて不快感があるだけでなく、唾液不足から、さまざまなトラブルを招きやすくなります。ドライマウスの原因は、ストレスなどで唾液の分泌量が減ることですが、全身にかかわる病気が隠れている場合もあります。ドライマウスをしっかり防ぎ、発症が疑われる場合は早めにセルフケアを始め、場合によっては治療を受けることが大切です。
唾液の分泌量が減り、口の中が乾く、飲み込みづらい、口臭がする……
健康な成人では通常、1日に約1.5リットルの唾液を分泌し、口の中を潤わせています。そのほか、唾液は歯を修復する、病原微生物の増殖(虫歯や歯周病)を防ぐ、口の中の粘膜を保護する、消化を助ける、味覚を助ける、発音をなめらかにする、傷を治す、といった働きをしています。
そのため、ドライマウスで唾液の分泌量が減ると、さまざまなトラブルに見舞われやすくなります。次の症状に当てはまる数が多いほど、ドライマウスの可能性が高くなります。
口の中やくちびるが乾く/のどが渇く・水をよく飲む/口の中がネバつく/口の中や舌が痛い、ヒリヒリする/乾いたもの、パサパサしたものが飲み込みにくい/口臭がする/味がよくわからない/口のまわりが荒れやすい/目が乾く/消化不良になりやすい/皮膚が乾燥しがち
原因はストレス、口呼吸、咀しゃく筋の筋力低下、薬の副作用など
ドライマウスの原因としてよく知られているのは過度なストレスです。ストレスによって、自律神経のうち交感神経の働きが活発になると、唾液の分泌量が減ってしまいます。もう一つは口呼吸です。口呼吸で唾液が蒸発しやすくなって、口の中が乾いてしまうのです。口呼吸の主な原因は、鼻炎などによる鼻づまりや噛み合わせの悪さなどです。いびきをかく人は、眠っている間も口呼吸をしていることが多く、この場合、唾液の蒸発がさらに進みます。
そのほか、加齢や軟らかいものばかり食べる習慣などで、口のまわりにある咀しゃく筋の力が低下すると、これが唾液の分泌力の低下につながる場合があります。喫煙も口の中を乾きやすくします。また、薬の副作用によって唾液の分泌量が低下することもあります。
ストレスによる抑うつ治療のために薬をのんだ高齢者の場合、複数の要因が重なってドライマウスを招きやすくなるおそれがある、といえます。
また、糖尿病が進行すると、唾液の分泌量が低下していなくても、脱水によってよく口が乾き、水を飲みたくなります。更年期障害の症状のひとつとしてドライマウスが起こることもあります。