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人生のステージ(年齢層)ごとに、必要な口腔ケアは変わる

人生のステージ(年齢層)ごとに、必要な口腔ケアは変わる

ひとくちに口腔ケアといっても、大人と子どもでは当然、異なります。乳幼児期、学齢期、思春期、そして成人後、高齢期……人生のステージ(年齢層)ごとに、必要な口腔ケアは変わっていきます。まず、ステージごとの口の中の移り変わりや、それぞれに対応した口腔ケアのポイントを知っておきましょう。

幼児期から始めたい、歯垢(プラーク)をとることを意識したブラッシング

口腔ケアは、乳歯が生え始める生後6~8カ月ごろから始まります。この時期が近づいたら、ときどき口の中を指でさわってあげたり、第一段階としてガーゼみがきを行ったりしましょう。上の前歯が生えてきたら歯ブラシを使い始めますが、しっかりみがく、というより、歯みがきに慣れることが中心です。

1歳を過ぎて前歯だけでなく奥歯もそろってきたら、歯垢(プラーク)をとることを意識して、1日1回はきちんとみがく習慣をつけましょう。デンタルフロスの使用も同時に始めます。歯列矯正を検討するケースも出てくる時期です。

学齢期に入っても、小学校低学年くらいまでは大人が仕上げみがきをしてあげる必要がありますが、同時に自分で正しくみがく習慣も身につけさせましょう。物事を論理的に考えられるようになってくるため、歯をはじめ、口の中を健康に保つことの重要性を話しかけることも大切です。

働き盛りのうちから正しい口腔ケアを。女性ホルモンの変化も歯周病を招く

さまざまな変化が起こる思春期には、ホルモンバランスの乱れから、思春期性歯肉炎と呼ばれる歯周病が多くみられます。女子の場合は月経周期関連歯肉炎にも注意が必要です。

歯周病は、成人後に歯を失う最大の原因であり、働き盛りの7~8割がかかっているといわれています。特に女性の場合、ホルモンバランスが妊娠・出産期に大きく変化することが、歯周病の大きなリスクとなります。歯周病菌は胎児の健康にも影響を及ぼすとされているため、妊娠・出産期だからこそ、歯周病などの必要な治療はきちんと受けましょう。

歯の本数は20~40歳代は27~28本ですが、50歳代で24本と急減します。若いころからじわじわと進んでいたむし歯や歯周病が、50歳代になって表面化してくるわけです。したがって、歯を失わないためには、食べたらみがく、寝る前はとくに丁寧にみがく、といった習慣を20歳代から定着させたいものです。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。