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一人で歯を磨き始める時期は、ブラッシングと生活習慣

一人で歯を磨き始める時期は、ブラッシングと生活習慣

小学校も低学年のうちは何かと親の手を借りることになりますが、中・高学年ともなると一人でできること、一人でしなければいけないことが増えてきます。毎日のブラッシング習慣もその一つです。また、おやつのとり方などの生活習慣にも親子で気をつけましょう。

永久歯の咬合力や咀しゃく効率をアップするには、むし歯予防が重要

乳歯から永久歯への生え替わりは一般的に、下の奥歯である第二大臼歯が生えてくる12~13歳のころにほぼ完成します。永久歯列が完成することに加え、あごやその周辺の筋肉も発達し、小学校中学年から高学年ごろにかけて、食品をかみくだいて消化しやすい状態にする咀しゃく能力が飛躍的に増大します。

例えば、堅い食べ物をくだくために重要な咬合力(噛む力)は、永久歯は乳歯の約3倍に。食べものをすりつぶす働きを示す咀しゃく効率も、永久歯は乳歯の約1.7倍にもなるといわれています。

ただし、これらのデータはむし歯のない健康な歯列の場合です。むし歯によって、よく噛めない歯がある、歯を抜くことになってしまった、さらには噛み合わせが悪くなった(不正咬合)といった場合は、咀しゃく能力の成長が妨げられます。

その一方で、生えてきたばかりの永久歯は歯質が弱く、表面をおおうエナメル質も未成熟なため、たいへんむし歯になりやすい状態にあります。そのため、ブラッシングや生活習慣にいっそう気をつけて、むし歯にならないようにしましょう。

歯にあてる毛先部分を使い分け、1本1本ていねいに磨くコツを伝えよう

むし歯予防には、やはり正しいブラッシング習慣です。小学校中学年ともなると、親による仕上げ磨きは卒業し、子ども自身によってきちんと磨く必要があります。成人と同じく、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)を落とすことを目標とし、歯ブラシの毛先部分を歯の面に対して直角にあて、軽く小刻みに動かすことが基本になります。

歯ブラシは、子どもの小さな口の中でも、ヘッド部分を細かく動かせるように、ヘッド部分が小さなタイプを使います。柄がまっすぐで握りやすい単純な形の歯ブラシがおすすめです。毛の硬さは「ふつう」でよいでしょう。

歯ブラシの持ち方は本人任せで構いませんが、強く握るとブラッシングにも力が入りすぎるため、軽く握って軽くブラッシングすることを意識させましょう。そして、1本1本ていねいに磨くコツをアドバイスしてください。前歯の中央部は歯ブラシの毛先全面、両脇は毛先の両脇を利用するなど、それぞれの歯に合わせて、歯にあてる毛先の部位を使い分けられるようにします。

最終的には子ども自身で、1本1本ていねいに磨くには、歯ブラシをどのように使うのがよいのかを工夫し、確かめながら身につけていくことになりますが、「入り口」としては親子のコミュニケーションが必要です。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。