歯周病の第一歩・歯肉炎は「思春期」からもう始まっている
歯周病は中高年者に多く発症しますが、軽度の歯周病である歯肉炎は、思春期に発症するケースもあります。思春期になってもお子さんの口の中の健康に気づかい、早めに適切なブラッシングなどをアドバイスしたり、歯科受診につなげたりするようにしましょう。
10代でも3~4人に1人は「歯肉に出血あり」で歯肉炎の恐れ
歯と歯ぐきの境目の溝である歯周ポケットの深さは、歯周病の進み具合の目安となっています。厚生労働省の『平成28年歯科疾患実態調査』によると、50代以上では半数以上の人に深さ4mm以上の歯周ポケットがみられるものの、10代では90%以上が4mm未満でした。4mm以上となると中等度以上の歯周病が疑われ、歯科での治療が必要とされていますが、4mm未満なら適切なブラッシングで正常に回復できる可能性があります。
一方、同調査では、「歯肉の出血がある」=歯周病の第一歩ともいえる歯肉炎が疑われる人は、10代でも3~4人に1人となっていました。
性ホルモンの増加で起こる「思春期性歯肉炎」は女子に多い
歯肉の腫れや出血といった歯肉炎の多くは、適切なブラッシングが行われなかったことによるものです。ただ、思春期にはこの時期特有の歯肉炎があり、思春期性歯肉炎と呼ばれています。性ホルモンの分泌が増えることから、これを栄養源にして歯周病菌の働きが活発化することが原因、と考えられています。
なかでも女性ホルモンの増加は歯周病菌を刺激しやすく、男子よりも女子に起こりやすい傾向があります。女子の場合、月経のたびに歯肉に炎症が起こりやすくなる月経周期関連歯肉炎にも注意が必要です。
思春期性歯肉炎の多くは、この時期だけの一時的なものですが、ブラッシングの見直しをはじめ、適切な対処をしないと本格的な歯周病に進む恐れがあるともいわれています。
ブラッシングの際やお子さんの普段のようすなどから、「歯肉(歯ぐき)から出血している」「口臭がひどくなった」「口の中がねばつく」といった、歯肉炎が疑われる症状に気づいたら、ブラッシングをチェックし、改めて「1日1回はていねいに磨くこと」などを徹底させましょう。のべつファストフードやスナック菓子や甘い飲み物を飲食しているような、食習慣の見直しも重要です。