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失った歯は戻らない! 歯周病はしっかりと治療しましょう

失った歯は戻らない! 歯周病はしっかりと治療しましょう

歯周病を放置していると、やがて歯がぐらついて抜けてしまうことになります。歯周病は、成人が歯を失う原因の第1位です。なくした歯は取り戻すことができないため、予防はもちろん、歯周病になってしまった場合にはしっかりと治療することが大切です。

早期の歯周病ならセルフケアだけでも「治療」できる

歯周病の治療は、予防と同様に、歯周病のもとになっている歯周病菌のすみかであるプラーク(歯垢・しこう)や、プラークが固まった歯石を取り除くことが基本になります。すなわち、毎日のブラッシングは歯周病の治療にも欠かせません。歯と歯ぐきの境目の溝である歯周ポケットが比較的浅く、歯石がついていなければ、適切なブラッシングなどのセルフケアだけでも「治療」でき、もとの健康な状態に戻せるといわれているのです(詳しくは、前回記事「歯を失う最大原因の『歯周病』をよく知って、予防・改善は早めに」を参照してください)。

ただ、歯石になってしまった場合はブラッシングだけでは除去しきれないため、定期的に歯科医院で検診を受け、歯科衛生士らの専門家に歯石を除去してもらう必要があります。

スケーラーで歯石を除去。重度の場合は外科手術も行われる

歯石は、スケーラーという専用の器具で取り除くことになります。手作業で削り取るほか、超音波スケーラーで歯石を粉砕する方法もあります。除去した後は、プラークが再付着しないように、歯の表面をなめらかにする処置をします。

歯周病が進み、歯周ポケットが深くなると深部にたまった歯石をスケーラーで除去しきれない場合があり、歯石を除去するための外科手術が行われることもあります。歯の根元の隠れた歯石まで除去できると、歯周病の進行を止めることができ、炎症のない健康な歯肉を獲得できます。しかし、失われた歯槽骨を元にもどすことはできません。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。