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糖尿病も動脈硬化も肺炎も…歯周病(細菌)の影響は全身に及ぶ

糖尿病も動脈硬化も肺炎も…歯周病(細菌)の影響は全身に及ぶ

毒素が血管に入り込んで動脈硬化を進め、冠動脈の病気や心内膜炎も

歯周病細菌が出す毒素が血管に入り込む影響は、糖尿病に限らず、動脈硬化を進めることで、動脈硬化にかかわるさまざまな病気の引き金になると考えられています。動脈硬化によって、心臓に酸素や栄養を届ける冠動脈が狭くなったり詰まったりする狭心症や心筋梗塞はその一例です。動脈硬化が進んだ血管から歯周病菌が見つかり、重症な歯周病ほど多く見つかったという報告もあります。

心臓に関しては、細菌が心臓の内膜に感染・増殖することで起こる細菌性心内膜炎にも歯周病細菌がかかわっているとされ、患者さんの血液や病変部から歯周病菌が見つかったとの報告も出ています。

また、妊娠中に歯周病が悪化すると、子宮の収縮を早めたり、低体重出産や早産の引き金になるともいわれています(「むし歯や歯周病が悪化しやすい妊娠・出産時こそ毎日の口腔ケアを」参照)。

さらに、高齢者に多い誤嚥性肺炎も、歯周病細菌が原因で起こりやすいことがわかっています。これは、加齢や脳梗塞の後遺症などで飲み込む力が低下していると、飲食物や唾液とともに細菌が気管に入ってしまい、肺にまで到達して炎症を起こす病気です(詳しくは、当コーナー2018年3月配信分で解説予定です)。

以上のほかにも、研究が進むにつれ、歯周病と関連しているのではないかとみられる全身にかかわる病気が増えているようです。これらをまとめて「ペリオドンタルシンドローム(歯周病と関連のある全身疾患の総称)」とも呼ばれています。歯周病はよくある口の中の病気、などと軽く考えずに、毎日の適切なブラッシングを中心に、予防や改善を徹底させてください。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。