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何でもよく噛んで食べられますか? 全身の健康を左右する「噛む力」

何でもよく噛んで食べられますか? 全身の健康を左右する「噛む力」

噛めるか、噛めないかは、筋肉減少(サルコペニア)とも相関関係

さらに、よく噛めるか、噛めないかは、全身の筋肉量と相関していることも明らかになっています。これは東京大学の研究によるもので、残っている自分の歯の数や噛む力といった口腔機能は、全身の筋肉が減るサルコペニアにあてはまる人ほど低下している、というものです。*3 サルコペニアになると、さらに転倒のリスクが増え、要介護状態を招きやすくなります。

以上のことから、いくつになっても心身の健康を保つには、「噛む力」が欠かせません。前述の特定健診の質問票で「何でも噛んで食べることができる」と答えられなかった人は、毎日のブラッシング習慣を見直し、むし歯や歯周病など、治療すべきは治療しましょう。万一、歯が抜けたままになっている場合は、義歯などを検討することも必要です。

*1 Yamamoto T, Kondo K, Hirai H, Nakade M, Aida J, Hirata Y. Association between selfreported dental health status and onset of dementia: a 4-year prospective cohort study of older Japanese adults from the Aichi Gerontological Evaluation Study (AGES) Project. Psychosom Med 2012; 74: 241-248.

*2 Yamamoto T, Kondo K, Misawa J, Hirai H, Nakade M, Aida J, Kondo N, Kawachi I, Hirata Y. Dental status and incident falls among older Japanese: a prospective cohort study. BMJ Open 2012; 2: e001262.

*3 飯島勝矢、鈴木隆雄ら、平成25年度老人保健健康増進等事業「食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症候群の概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態に至る口腔ケアの包括的対策の構築に関する研究」報告書、2015年3月

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。