子どもの10人に1人は「先天性欠如歯」。早めに歯科医師に相談を
永久歯が生えそろえば、通常、上下合わせて28本(親知らずを除く)になります。しかし、なかには生まれつき何本かが生えてこないケースもみられます。これを「先天性欠如歯」といいます。永久歯が生えずに、大人になっても残った乳歯は「寿命」が短いことなどから、早めに気づいて適切なケアを続けることが大切です。
生まれつき歯胚(歯のもと)がなく、永久歯が生えずに、乳歯が残る
歯のもとは歯胚(しはい)という組織です。永久歯の歯胚が成長して、乳歯の歯の根と接触し溶かすことで乳歯が抜け、続いて永久歯が歯ぐきから姿をあらわす……これが乳歯から永久歯への生え替わりです。
しかし、生まれつき永久歯の歯胚がないと生え替わりが起こらず、乳歯が残り、永久歯が「欠如」した状態となる、と考えられています。むし歯などがなければ乳歯が大人になっても残るため、「大人乳歯」と呼ばれることもあります。
永久歯への生え替わりは一般的には6歳から12歳ごろであり、遅くとも15~17歳では永久歯による歯列が完成するといわれています。このため、中学卒業後も乳歯が残っている場合は「欠如歯」の可能性が高いと考えたほうがよいかもしれません。どうして、生まれつき歯胚がなく永久歯が生えてこないケースがみられるのかは、まだよくわかっていません。
1~2本の欠如、下の奥歯や前歯の隣の欠如が多い
このような先天性欠如歯の子どもは、7歳以上のおよそ10人に1人いるとされ、決して珍しい状態ではありません。これは、日本小児歯科学会が、全国の7歳以上の子ども1万5,544人(男子7,502人、女子8,042人)を対象にして、歯科を受診した際の資料を集計・分析した調査結果によるものです(日本小児歯科学会『日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査』、2010年)。
欠如の数は1本の子が5.22%、2本の子が2.98%。3本以上はいずれも1%未満だったことから、多くは1~2本の欠如、という結果でした。ただ、5本以上欠如していた子も、合計で135人と少なくはありません。
欠如していた歯の種類別では、下の第2小臼歯(奥のほうの奥歯)の欠如が最も多く、次いで下の側切歯(前歯と犬歯の間)、上の第2小臼歯、上の側切歯の順でした。