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上下の歯が接触するクセ(TCH)は、顎関節症の原因に!

上下の歯が接触するクセ(TCH)は、顎関節症の原因に!

 この画面を見ている今、あなたの上下の歯は離れていますか? 接触していますか? 上下の歯を接触させているのがクセになっていると、あごの関節の負担が大きくなって、口を開けにくくなったりする顎関節症の一因になることがあります。歯の“接触グセ”=歯列接触癖(TCH)に早めに気づき、早めに改めましょう。

上下の歯は離れているのが自然。接触グセで口を閉じる筋肉が疲労し、顎関節にも影響が

上下の歯は接触していて当たり前に思われるかもしれませんが、実は、食事や会話、嚥下(飲み込むこと)などの際に、一瞬、触れ合うだけで、それ以外のときは、唇を閉じていても上下の歯は離れているのが自然なのです。

しかし、頭を前に傾けるうつむき加減の姿勢が続いたりすると、歯の接触時間が長くなりがちです。食いしばって強く歯を接触させていればもちろん、歯を軽く接触させるだけでも、口を閉じる筋肉が働く(緊張する)ことになります。接触時間が長くなるほど、口を閉じる筋肉も長く働き続けるため、筋肉に疲れがたまります。

すると、筋肉の緊張により、無意識にかみしめるようになる時間が増え、あごの関節(顎関節、がくかんせつ)に悪影響が出てきます。顎関節の血流が悪くなり、痛みを感じやすくなるのです。正座で足の血流が悪くなると、しびれて痛みやすくなるのと同じです。

歯の接触による、この顎関節の血流の悪さなどは、顎関節症の一因になると考えられています。顎関節症には、「口を大きく開けるときに音がなる・痛みが出る」「するめのような、堅くかみごたえがあるものをかむと耳の前あたりが痛む」「口が十分に開かなくなる」などの症状がみられます。

スマホ操作など「一人で黙々とこなす」動作やストレス過多で起こりやすい

歯の接触が起こりやすいうつむき加減の姿勢とは、スマホの操作やパソコン作業、読書のときなどによくみられます。調理や洗いもの、掃除といった、家事の多くでも起こります。これらの共通点は「一人で黙々とこなす」動作、ともいえます。また、精神的なストレスが多い人は緊張感が強く、歯を接触させやすいとされています。

以上の要因が重なる、ストレスが多い人のスマホ操作やパソコン作業などでは、上下の歯を接触させやすく、接触時間を長引かせやすいと考えられています。ここに、冬の寒さや夏の過剰冷房などによる体の冷えが加わると、口の周りを含む全身の緊張が、さらに歯を接触しやすくします。また、歯の接触により、口を閉じる筋肉がさらに緊張しやすくなる、といった悪循環を招きがちです。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。