40歳以上の7割は歯周病疑い! 重症化する前に正しいケアを
成人が歯を失う原因の第1位である歯周病は、とくに自覚症状がないまま進行してしまいます。しかも、意外と若い年齢から始まっている可能性もあります。体の生活習慣病と同じく、症状がないからと放置せず、歯科医院で定期的なチェックと、クリーニングをしてもらうとともに、ブラッシングを中心とした適切なセルフケアに努めましょう。
10歳代後半の30%に歯肉炎、20歳代後半の30%はポケット4mm以上
厚生労働省は40歳以上を対象とする地域の歯周疾患検診の結果を毎年、「地域保健・健康増進事業報告」として公表しています。その2017年度版によると、歯周病の可能性がある人(要精検者)は約70%、歯周病の治療が必要な人(要指導者)が約20%であり「異常なし」は約10%に過ぎませんでした。
また、厚生労働省が5年に1回行っている「歯科疾患実態調査」の2016年の結果によると、歯周病の始まりといえる歯肉の出血がある人(歯肉炎)の割合は、10歳代後半で30%を超え、20~70歳代はおよそ40~50%になっています。
さらに、進行した歯周病の目安となる「歯周ポケットの深さ4mm以上」だった人の割合は、20歳代後半で30%を超え、その後、年齢とともに増え、50歳代前半で半数を超えています。歯周ポケットは歯と歯肉の間にできる溝であり、歯周病の進行とともに深くなっていきます。
歯周炎まで進むと「土台」が溶け、歯がぐらつき始める
歯周病の原因は歯と歯肉(歯ぐき)の境目などにたまったプラーク(歯垢)です。プラークは歯周病菌などの細菌のすみかであり、かたまって石灰化したものが歯石です。
歯と歯肉の境目にプラークがたまると、歯肉に炎症が起こり、赤く腫れたり、出血したりします。これが歯周病の始まりである歯肉炎です。歯肉炎が進むと、歯と歯肉の間に歯周ポケットができ、その中に歯周病菌が入り込んで増殖して炎症を悪化させます。歯周病菌は血液中の鉄分をエサにしているので炎症が進むほど活発になり、ポケットが更に深くなっていっそう歯周病菌がたまりやすくなるという悪循環を招くことになります。
この段階になると、歯の土台の骨である歯槽骨が溶け(破壊され)始めます。この状態が軽度歯周炎です。歯周ポケットの深さは3~4mmで、歯肉にかゆみが出たり、押すと柔らかい感じがすることがありますが、多くの場合この段階ではまだ無症状です。