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歯周病の治療完了後も、定期的な歯科受診が欠かせない理由とは

歯周病の治療完了後も、定期的な歯科受診が欠かせない理由とは

定期的に歯科医院を受診して、口の中の健康状態をチェックし、歯石やプラーク(歯垢)の除去など、お口の清掃をしてもらうことを、歯科用語で「メインテナンス」といいます。たとえ歯周病の治療を受け、いったんは「健康なお口」を手に入れたとしても、その後のメインテナンスを受けないと再発の恐れもあります。

歯周治療後にメインテナンスを受けないと、歯を失うリスクが増大する

歯周病をはじめとする歯周治療後にメインテナンスを受けた人と、受けなかった人にどのような違いがあったのかは、海外の研究で明らかになっています。

その報告によると、そもそも歯周治療を受けなかった人は、1人あたり5年間に1.8本の歯を失いました。また、歯周治療を受けたものの、その後のメインテナンスは受けなかった人も1人あたり5年間に1.1本の歯を失いました。これらに対して歯周治療を受け、その後のメインテナンスも受けた人が失った歯の数は1人あたり5年間に0.5本にとどまっていたのです(Becker W, at al. J Periodontol 1979; 50(5): 234-244.)。

歯周病の原因である歯周病菌は、適切な歯周治療でかなり減らすことができます。しかし、そのままでは、その間の不適切なブラッシングなどにより、時間の経過とともに歯周病菌が増えます。また、口の中の健康状態や歯の本数の変化などから、かみ合わせに変化が生じて、歯への負担が増えることもあります。これらの要因が重なり合って、メインテナンスを受けないと歯周病が再発しやすいのです。

ブラッシングの指導や歯石・プラーク除去などの口腔ケアが行われる

メインテナンスでは主に、次のような点についてチェックを受けます。

(1)ブラッシングの状態
十分にみがけていないと判断されれば、改めて適切なブラッシングの指導を受けます。歯周治療に伴い、みがき残しやすい箇所ができた場合は、そのような箇所のみがき方を指導してもらうことが特に大切です。

(2)歯ぐきの状態と歯周ポケットの深さ
歯ぐきの外見上は特に問題がなくても、歯周ポケットを測ることで、歯周病の再発を早期のうちにチェックできます。チェックの結果、歯周ポケットが深くなった、あるいは歯ぐきから出血していることなどがわかれば、専用の器具を使った歯石やプラークの除去などのケアを受けます。

(3)かみ合わせ
歯周治療後は、歯の土台である歯槽骨が減少していることが多く、かみ合わせのバランスが崩れがちです。かみ合わせのわずかなアンバランスが歯の負担を増やすため、かみ合わせを念入りにチェックしてもらいます。

(4)義歯や修復物の状態など
詰め物やかぶせ物などの修復物が壊れたり、修復物の周囲にすき間ができると、プラークがたまりやすくなって歯周病の原因になります。修復物に問題があれば、作り直しなどで対応してもらいます。
以上のメインテナンスを、どのくらいの頻度で受けるのかは患者さん一人ひとりで異なるため、費用も含めて、歯科医院とよく相談したうえで決める必要があります。一般的に、治療後の状態がよくない、あるいはブラッシングなどのセルフケアが十分ではない場合は1~3カ月に1回、治療後の状態が良好で、十分なセルフケアが可能な場合は半年に1回が目安とされています。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。