むし歯を防ぐには、甘い飲食物の「量」も「回数」も減らそう
お菓子や清涼飲料水など、砂糖を含む飲食物はむし歯の危険因子の一つとしてよく知られています。このため、むし歯を防ぐには、それらの摂取を減らしたり、同じ甘いものでもむし歯になりにくい甘味料の利用が勧められています。正しいブラッシング習慣に、おやつや間食の摂り方の見直しなども加えて、むし歯を確実に防ぎましょう。
むし歯を招く細菌のエサになる「糖分」を口の中にためない
むし歯は、口の中にいる細菌が糖分をエサにして酸を作り、その酸によって歯が溶け出した状態をいいます。口の中の細菌には多くの種類がありますが、特にむし歯の病原菌としてはミュータンス菌が知られています。ミュータンス菌は糖分をエサにして増殖し、周囲にグルカンというネバネバした物質を放出して歯に付着します。これが除去されずにいると、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)ができます。プラークの中では、ミュータンス菌などの細菌が糖分を取り込んで酸を作り、酸に接する歯をむし歯にしたり、むし歯を悪化させます。
むし歯を防ぐには、ミュータンス菌などのエサになる糖分を口の中にためないことや、摂取する糖分量、すなわち甘い飲食物の摂取量自体を減らすことが大切です。
砂糖の摂取量や摂取する回数(間食)が増えると、むし歯も増える
甘い飲食物に含まれる砂糖の総摂取量や摂取回数とむし歯の関係が、さまざまな研究で明らかにされています。
まず、砂糖の総摂取量との関係では、1人当たりの砂糖消費量が年間15~35kgで急激にむし歯が増えるということがわかっています*1。また6~18歳の追跡調査によると、砂糖を含む食品の摂取量が多かった子どもは、少なかった子どもに比べ、発症したむし歯の数が多かったといった報告もあります*2。
また、総摂取量だけでなく砂糖の摂取回数を減らすことも大切です。砂糖を摂取すると数分で歯の表面は酸により溶け出しますが、砂糖がなくなれば数十分で酸性は解消され、溶けた歯の表面は修復(再石灰化)されます。ですから、修復される時間のない人がむし歯が大きくなるのです。砂糖を含み歯に付着しやすいお菓子を、食べる総量は同じにして、食事のときだけ食べた場合と、食事時に加えて間食としても食べた場合に分けて調べた結果、間食としても食べた場合にむし歯が増加したことがわかりました*3。